MAGNUM OPUS: A. FATHER PADILLA MEETS THE PERFECT GNAT; B. HOWLING AT THE MOON; C. MAN OVERBOARD; D. INDUSTRY ON PARADE; E. RELEASE THE BEAVERS; F. GNAT ATTACK
MAGNUM OPUS: A. FATHER PADILLA MEETS THE PERFECT GNAT; B. HOWLING AT THE MOON; C. MAN OVERBOARD; D. INDUSTRY ON PARADE; E. RELEASE THE BEAVERS; F. GNAT ATTACK
解説 - MAGNUM OPUS: A. FATHER PADILLA MEETS THE PERFECT GNAT; B. HOWLING AT THE MOON; C. MAN OVERBOARD; D. INDUSTRY ON PARADE; E. RELEASE THE BEAVERS; F. GNAT ATTACK
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この曲は個人的に<伝承>や<すべては風の中に>以上に、 KANSASの代表曲、一大傑作と言っても過言でない曲と思います。 組曲形式で構成されており、約8分の中には 曲調がめまぐるいしく変わっていく 起承転結のはっきりした内容となっています。 プログレッシヴですね~。英国のバンド顔負けの緻密です。 また、KANSASの魅力であるトリッキーな変拍子、 圧倒的なテクニック、複雑な曲構成もさることながら、 聴きやすさも心掛けている所が何とも心ニクイです。 Two For The Showのヴァージョンは更にお勧めです。
邦題となった「超大作」という形容詞がこれほどピッタリな曲は他に無い。わずか8分25秒の中に、プログレッシヴ・ハード・ロックの真髄が集約されている、と言っても決して大袈裟ではない。これまで数多のプログレッシヴ・ロックバンドが数々の「超大作」を生み出しているが、この曲程の情報量を同じ時間に集約できたバンドはKANSASをおいて他には全く存在しない。同じ8分台の名曲にはYESの“Roundabout"、DREAM THEATERの“Pull Me Under"、KING CRIMSONの“Epitaph"等が挙げられるが、どれも内包されている情報量では遠く及ばない。情報量ではRUSHの“CygnusX-1 BOOKⅠ-Voyage-"、DREAM THEATERの“Metropolis Part1-The Miracle And The Sleeper-"が匹敵するものの、音の凝縮度は少し薄い。何より、人数の関係があろうがここまで深遠な音宇宙を1976年に構築していたと言う事実に私は恐ろしさを抱く。(一応言っておくと、私は上に挙げた曲が嫌いなわけではない。この上なく大好きである。ただ私が比較論でしかこの曲の凄さを表現できない文才に乏しい男なだけなのだ) この曲のドラマチックさは私がここで百万語を費やすより皆様の耳で確かめてもらったほうが良いのだが、皆様もいきなり手を出すのはいささか躊躇われるだろうから、参考程度にこの曲の展開を少し書く。 Ⅰ.FATHER PADILLA MEETS THE PERFECT GNAT パーカッションと、シンセサイザーの音色が聴き手をこれから展開される世界へと誘う。そして突然曲は展開を見せ、へヴィだがスペーシーなギター、木琴(あるいは鉄琴?)のような音色の後に、ギターが再びの加わり、これが“Howling At The Moon"の導入部となる。 Ⅱ.HOWLING AT THE MOON 先ほどの演奏に導かれ、Steveが歌う。「ロックン・ロールだけが月に届く音 唯一 月に届く音なのさ」という言葉は自らの音楽の礼賛だろうか、あるいはBLUE OYSTER CULTのように「無機質な地上を離れた宇宙にこそ自分達の音楽がある」と言う自負の表れだろうか。 Ⅲ.MAN OVERBOARD 前章の恍惚感を破壊するキーボードとエコーの掛かったパーカッションがオーヴァーチュアとなり、アグレッシヴなバンド・アンサンブルへと曲は変貌を遂げる。ヴァイオリン・ソロ、コズミックなキーボード・ソロ、短い数回のギターソロが荒々しい展開のなかにはっきりとした山場を作り、波乱に満ちた世界は更なる進展を見せていく。 Ⅳ.INDUSTRY ON PARADE 突然ここで攻撃的なギターに切り替わり、より世界は激烈になっていく。疾走が突然スローダウンしたりしている為、かなりめまぐるしさが印象に残る。曲想は全焼の延長線上にあり、多少判別がつきにくいが、この章は後の展開へと裏切られる。 Ⅴ.RELEASE THE BEAVERS そして青天の霹靂のごとくテンポがスローになり、Ⅰ章で出てきた音色が神秘的な世界を描く。そこからベース、キーボード・シンセサイザー、ギターのリフが徐々に絡み付いて、名状し難い緊迫感を産む。 Ⅵ.GNAT ATTACK ギターソロのイントロ、変則拍子のアンサンブル、ヴァイオリン・ソロ、シンセサイザー・ソロに続いて最後の展開を迎え、第一章のフレーズが再登場し、曲は大団円へ向かって壮大に収束していく。 私の稚拙極マリない文章を通してでも、この曲の内包する情報量の凄まじさがお分かりいただけると思う。転調、転調を際限なく繰り返すこの曲は、プロウレッシヴ・ロックというよりはむしろハード・ロック的カタルシスをたぶんに感じさせる曲である。ジワジワゾクゾクとくる王道のプログレとは趣を異にすることは否めないが、現在はDREAM THEATERが「プログレッシヴ・ヘヴィ・メタル」と称してこの曲と似たようなアプローチを実践しているので今のプログレファンには文句を言われる筋合いは無いだろう。 尚、余談だがDREAM THEATERは自作の中で部分的に“Carry On Wayward Son"をカヴァーしているので、KANSASからの影響はほぼ間違いなさそうだ。