特にシンガーのデイブ・ヒルが醸し出す、塩っ辛いオッサン声、これは女子受けしない。そんな玄人好みのサウンドはマニア御用達とるのだが、新たなる聖典と呼べる傑作をリリース。Taking the World by Stormのようなメロディックメタルではなく、もっと古典に根ざしたサウンドを披露。自らのルーツと呼べるような作風、ジョン・ロード風味のオルガンを生かし、Magnumやヒープのような味わい深きロックサウンドを踏襲、そのメロセンスを存分に生かし、老獪なテクニックで見事ストーリーテラーを勤め上げたデイブ・ヒルはバンドの顔として、近年の作風の中でも特にインパクトを残してくれた。
こういう音を評価するのは難しい、ある意味お約束だし、メタルとしてはパンチが弱い。スピードで勝負する分けでもないが、日頃J-POPを聴いている人を振り向かせられる程、敷居は低くない。 インテリジェンスな部分もある、だからお気楽にノリノリで楽しめる分けではない。また本気のAORファンにとっては音がデカすぎる。 彼らのターゲットは狭い、それだけに苦難の連続だろう。だからこそ日本のメディアが手を差し伸べたのだろうが、リードシンガー問題で苦労は絶えなかった。決定的だったのは、人気も絶頂だった頃、ゲイリー・バーテンを迎えアルバムと2枚組のライブ音源&映像を世に出したのがピーク。 ゲイリー・バーテンはルックス的にも華はないし、過去最弱の歌い手だ。まぁMSG人気で売れたと言われているが中古市場では拾いきれないくらい流通している。 傑作の多いバンドだ。個人的にはA Cry For The New Worldはメロディックメタルの歴史に刻まれるだろうし、ソングライティング力が爆発したForever In Timeなど、彼らの威光を世に伝える名盤だろう。 そして今作も、その名盤に名を連ねるのだが、若い人を振り向かせられるインパクトは残っていないだろう。
HIGH ROLLER RECORDSが絡んでいるのだから外すわけがないのだが、ここまでドンピシャの音を作り上げるとは驚きだ。ある意味、もっとも1stの世界観に近いアルバムを作り上げたのかも知れない。そのクオリティの高さは全時代を総括するものであり、メロディありパワーあり、疾走ありとメタルを愛するものにはとっては必要不可欠な要素を端的に盛り込んだ作風は、とても親しみやすいものとなるだろう。今年はクラシックメタルの世界にとっては豊作だ。
<収録曲> 01. The Prophecy 02. Hell, Fire And Damnation 03. Madame Guillotine 04. Fire And Steel 05. There's Something In Roswell 06. Kubla Khan And The Merchant Of Venice 07. Pirates Of The Airwaves 08. 1066 09. Witches Of Salem 10. Super Charger
今回はまたジャケットがかっこいい!SAXONのジャケット史上でもトップクラスのかっこ良さではないでしょうか。先行シングルの“Hell, Fire And Damnation”も安定感抜群の出来栄えです。個人的には前作が近年では最高に気に入った作品でしたが、本作もそうなればいいなぁ、っと期待しております。今回もまたCDの日本盤の有無を確認してからの購入です。未だにCD買ってんの?って40年前にもレコードで同じことを言われて小ばかにされていましたね。だから今の時代になっても気にもとめず、CDを買います。時代遅れは専売特許です(笑)