イアン・ギランとロジャー・グローヴァーも在籍していたEPISODE SIXの元メンバーにより結成されたQUATERMASSが、’70年に発表した1stアルバム。 彼らに関しては「リッチー・ブラックモアのDEEP PURPPLE脱退→RAINBOW結成の引き金の一つになった楽曲“BLACK SHEEP OF THE FAMILY”のオリジナルを演っていたバンドでしょ?」ぐらいの認識しか持っていなかったので、お勉強のつもりで初めて本作を聴いた時にはその迫力と独創性にブッ飛ばされましたよ。ギターレスのトリオ編成にも拘わらず、プログレ的繊細さよりHRシンガー然としたパッションだだ漏れな熱唱にグッと来るジョン・ガスタフソンのVo、ピアノや歪んだ音色で唸りをあげるハモンド・オルガンを駆使して、時にクラシカルに、時にフリーキーに曲展開を彩るピーター・ロビンソンの鍵盤捌き、奔放に荒れ狂うミック・アンダーウッドのDsにより叩き付けられるサウンドは、並のメタル・バンドじゃ束になっても敵わないレベルでヘヴィかつアグレッシブ。前曲の神秘的な余韻を攻撃的なオルガンと音数の多いドラムがぶち破るリッチーも認めた名曲②は勿論、Voの絶唱と楽器陣の火花散る絡み合いが哀愁を帯びた曲調を激しく盛り上げる③、BOSTONの“SMOKIN’”を思い出したりもするスピーディなロックンロール⑦、終盤にドンデン返しが仕掛けられたサスペンス映画のサントラ曲みたいな(?)大作⑩辺りは、プログレというよりは完全にHMの領域で語りたくなる熱量とカッコ良さを誇っています。 ヒプノシスが手掛けた印象的なジャケットに、内容の方も一歩も引けを取らない名盤。