前作のスクリーム型からメロディー重視、中音域中心の落ち着いた唱法をみせているリッパーの「聴かせる」Voだけでも一聴の価値あり。ヴォーカリストとしての急成長ぶりがうかがわれる。プリーストのVoである以上ハイトーンヴォイスを期待するところだが、本領を発揮せずこれだけ聴くものに満足感を与える仕上がりになっているところは凄い。いかにいい曲が揃っているかの証明でもあると思う。シンセの多用でメタル音というより電子音っぽいモダンさに違和感をおぼえる人が少なくないとは思う。しかし、各曲本来のJPの持つ「らしさ」が随所に感じられるし、バラードに至ってはさわりを聴いただけでJPと分かり、「KILLING MACHINE」あたりの"バラード絶頂期"の音を彷彿とさせることもあって、どことなく懐かしさ、癒しさえ感じてしまう。 「METAL MESSIAH」のような明らかに毛色の違う、らしくないと言えばそう思えるような、いかにも今どきのといった曲もあるが、曲自体の完成度は高くあまりの完璧さに突っ込む余地がないのである。しかしながら、こういったモダンでカッコイイ曲をニューフェイスがやれば絶賛されるところをJPがやると非難の対象になるのがどうも解せない。「DEMOLITION」はまさにJPの新世紀へ向けての記念すべき門出のアルバム、かつ今まで同様、入魂の力作である。好き嫌いを言うのは一向に構わないが、駄作だと御託を並べるのは十分聴き込んでからにしてほしい。 JUDAS PRIEST IS STILL GOING STRONG!!
前作「JAGURATOR」はブルータルな作風で、それが結構鼻に付くところがあったのだが、本作はモダンでありつつも伝統的なHMを主体とした作品になっている。 オープニングの疾走曲「MACHINE MAN」は一発で気に入ったし、続く「ONE ON ONE」もヘヴィなミディアムテンポの佳曲。 「HELL IS HOME」は美しくもダークな曲で、「JEKYLE AND HYDE」は過去のPRIESTにはないタイプの個性的な曲。 パワー・バラードの「CLOSE TO YOU」、リッパーの唸るような低音ヴォイスが印象的な「DEVIL DIGGER」と続き、往年のJPを彷彿させる「BLOODSUCKERS」では、リッパーの驚異的なハイトーンが聴ける。 うねるようなヘヴィさを持つ「IN BETWEEN」、思わずヘッド・バンキングしたくなる「FEED ON ME」、現代風サウンドの「SUBTERFUGE」、アコースティック・ギターによるバラード「LOST AND FOUND」、デジタルなヘヴィ・サウンドの「CYBERFACE」、ラップ的な歌唱から美しいメロディを聴かせる「METAL MESSIAH」で本編終了。 ボーナス・トラックの「WHAT'S MY NAME」はリッパーが作曲に関わった曲。 最初は素晴らしい出来栄えであると感じたのだが、やはり過去の名盤に比べると曲の出来にばらつきがあるように思う。 モダンなサウンドを意識しているにも関わらず古臭く感じてしまうのは自分だけだろうか? スコット・トラヴィスのドラムが今回は大人しいのも気になるなあ。