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Godspeed on the Devil’s Thunder: The Life and Crimes of Gilles de Rais / CRADLE OF FILTH
Usher-to-the-ETHER ★★★ (2008-11-15 21:50:00)
2008年発表の8th。

ネットやプレスでも評価されている通り、ここ最近の作品に顕著だったメタリックさは残しておきつつ、以前のようなシンフォ要素やアグレッション、ゴシックホラー的耽美メロ等をかなり取り戻している作風で、今までのCOFの集大成といってもいい作品だと思います。

私は、ブラックメタルのバンドが「正統派メタルの手法を取り入れてブラックメタルの感性を表現する」のはともかく、「正統派メタルの手法を取り入れて正統派メタルの感性を表現する」事にあまり意義を見出せないので、COFがこういう路線に戻ってくれて嬉しいです。

ただ、世間では「鬼女と野獣」の再来と言われてるようですが、個人的には似て非なるアルバムだと思ってます。「鬼女~」がバンドサウンドを媒介に、エリザベスの産まれた夜の瘴気に満ちた空気だったり、死して尚荒れ狂うエリザベスの亡霊だったりといった情景を想像させ、感じさせてくれる作品だったのに対し、今作は想像の余地を残しておきつつ、バンドサウンド自体がかなり情景を描いている感じ。情景における「バンドサウンドそのもの」と「リスナーの想像力」の占める割合が変わって、前者がより高くなったような印象があります。

COFのディスコグラフィーでは、「鬼女」がサントラ的メタル/ブラックメタルとしての名盤なら、今作はヘヴィメタル/エクストリームメタルの名盤と言えるのではないでしょうか。どっちが良いかは好き好きですが、私はメタルが聴きたい時は今作、聴きながら妄想に浸りたい気分の時は「鬼女」ですね。メタルが元々好きで、これからCOFの世界に入ろう…という人への入口としても最適な、決定的な作品だと思います。

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