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Legends (2023年)
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Legends
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解説 - Legends
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1. 失恋船長 ★★★ (2024-04-10 08:13:51)

AFM Records肝いりのバンドだろう。頭文字がまさにAFMとなる。そしてメンバーが、各々、他にバンド活動を行うメンツを揃えた所謂、プロジェクトチーム。プロデュース兼ソングライターとしてKissin' Dynamiteとのヨハネス・ブラウンを筆頭に、マーク・ニッセン、ピーター・ジョーダン、ジュリアン・ブロイッカー等が参加、こういう背景だけでもAFMの企画であるとうかがえるが、詳細については分からない。
ただ、ここで気になるのが同じレーベルのバンド、BROTHER OF METALの存在だ。向こうは北欧神話など、北欧をコンセプトとしたバンド。民族衣装に身を纏い歌詞や曲調の、それに沿ったものだった。元々インディーズでの評判が話題となり契約に至った苦労人、その為にアマチュア臭さは拭えなかった、また既視感も強かった。例えば、メンバーの容姿なのだが、お世辞にもカッコいいとは言えない。肌の露出が多い民族衣装なのだが、身体が全然出来上がっていなかった。贅肉のはみ出しただるんだるんの身体。コミカルなPVも既視感があり、正直プロ意識に欠けた印象が強い。

その失敗が肥やしとなっているのか、このバンドはコンセプト衣装とモロかぶりである。本当に驚いた。同じレーベルで、同時期にバンド名まで同じようなニュアンスのバンドをぶっ込むなんて、どうしてこうなるのかはわからないが、正直、気の毒である。
ちなみに、そんなBROTHER OFはこのバンドの登場後リリースしたシングルでは、ダークなヘヴィ路線へと変貌していた。まぁ1曲なので判断は出来ないが、大人の忖度を感じずにはいられない。

そんな裏事情を抜きに今作を聴けば、単純にNWOTHMの流れを汲む正統派のバンド。コンセプトは北欧神話。そこにイケメンマッチョとムキムキマッチョによるツインボーカルをメインとするバンド形態という、わりと新しい切り口で勝負。
とくにギターは現在女性二人という構成、さらには女性ダンサーも2名加わり賑やかなショーを行っている。

とりわけ面白いのが、自分のバンドでは思いっきりグロウルを披露する、ボディビルダーとしても活躍する筋骨隆々のティム・"テッツェル"・シュミットが、グロウル一歩手前の雄々しい咆哮を響かせると、その効果は絶大なアクセントとなり、見た目と北欧神話との親和性も抜群で雷神トールの如き力強い存在感を雄弁に見せつけている。

そしてイケメン細マッチョのアントニオ・カラナが確かなパフォーマンス力で魅了、リードシンガーとしての存在感をより際立たせている。ティムがいればこそだし、ティム一人では表現出来ない部分をフォローしている。癖はあるが、一般的なロックファンが聴いても苦にならないツインボーカル。どうしてもグロウルは、一般人にとってはtoo much感が付きまとうので、このバンドは、その課題をクリアーしながら、面白いコンセプトを披露している。バックボーンの違うメンツが揃ったバンドの面白さ、当初シングルギターだった時のギタリスト、ヨハンナ・アイカーはEklipseというクラシック楽器を使用した弦楽四重奏団でヴィオラを担当、そのエレガントなサウンドからは、想像も付かない抜擢だが、途中で脱退してしまった。

ドラムはレイフ・ジェンセン、ベースはフロリアン・トーマという二人、個人的には馴染みのないアーティストなのだが、今作では割とオーセンティックなプレイを要望されており、昨今流行の聴きやすいミックスの影響もあり、目立たないというのか地味なのだが、この聴きやすいサウンドにはフィットしている。

紅2点となったギターチーム。バンド歴もあるが、メタル大好き女子ギターとしてYOUTUBEで活動する小太りボッチャリ女子のジャスミン・パブストとイタリア人の知的な空気感が印象的なウルスラ・ザニチェリという、好対照の二人を揃えた事により画的に、メリハリを付けた、とくに昨今のLGBTQにも配慮したと言える布陣、日本では考えられない座組だろう。
なんと言っても日本はルッキズム天国、見た目重視のテクは二の次三の次ですから、まぁ欧州は先をいっていますよ。

そんなメンバーがAFMが示したコンセプトにノリ、北欧神話をテーマに聴きやすく力強いメタルサウンドを披露。一聴して口ずさめるメロディと繰り返される歌詞。ヘヴィメタルとしての分かりやすいパワーとキャッチーさ、だから、PVを込みでアルバムの曲を先行配信していったんでしょうね。
再生回数に満足は出来ないでしょうが、このバンドのコンセプトは常に分かるような画と曲で魅了した。とくに途中から女性ダンサー二人も加わり、8人編成の大所帯になってからは、益々ステージも賑やかなものに、個人的にはダンサーがいらないと思うのだが、これもBABYMETALなどの活躍もあんのかなぁ、なんて想像したりしてますが、ああいうのは楽しんだモノ勝ちでしょう。

雄々しい雄叫びと、相反するしなやかな歌声、無駄を省いたコンパクトな楽曲はどれもが印象的なフレーズを盛り込み、耳に飛び込んでくる。ある意味、ラジオフレンドリーな曲で埋め尽くしたと言うことなのだが、硬派さは失っていない。それがこのバンドの肝なのだろう。何年経っても英語は分からんし、訛りも当然わかりませんので、アレなんですが、歌詞がダイレクトに分かる人は、さぞや楽しい音楽になるのでしょう。

既にAFMを離れ新進気鋭の新興ミュージックReigning Phoenix Musicに席を移しているのですが、この路線を継承してほしいものですね。分かりやすくベタ、そのベタさが絶妙だ。世の中、ベタに敵うモノなし、そのお約束感を楽しめるかが最大のポイントだろう。
それにしてもベースの音が目立たんねぇ。ワシがPCで音楽を聴いているというのもあるのだろうが、昨今流行のミックスは好かん。



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