1994年にリリースした『COUNTDOWN TO EXTINCTION』で示したキャッチーでへヴィな新生Megadethが思いのほか、成功を収め、その路線を突き進む事となった彼ら、この時代多くのバンドが次の一手を模索していたので、バンドとしては相当な迷いもあったでしょう。その後の活動と音楽性を見れば、それは一目瞭然なのですが、色んな意味で成功と引き換えに迷走していましたね。 そんなMegadethがようやく本分を取り戻そうと苦心していましたが、今作ではようやく、その努力が実を結び原点回帰を高らかに告げる内容となりました。インストに導かれ始まるのは往年の空気をまとった激烈なスラッシュナンバー②、そして扇情的なフレージングも持ち込んだドラマ性の高い③の流れは悶絶必死。完全に掴みはOKでしたね。 Jag Panzerから引き抜いた新ギタリスト、クリス・ブロデリックもインテレクチュアル・スラッシュの方向へ押し戻す役割を見事に果たしており、ギター巧者ぶりを存分に発揮しております。尖りまくったリフワークの上を柔軟なプレイで対応と、ムステインの相棒を務めあげていますね。 メンバーチェンジがもたらした初期へと邂逅を始めた意欲作。その充実ぶりを物語る、重厚なドラマ性を堪能できる⑦、静と動の対比が魅力的な⑧、これぞMegadethなスラッシュナンバー⑨と3曲の流れが今作のハイライトでしょう。時間は掛かりましたが、ようやく本分を取り戻しましたね。