STAN BUSH & BARRAGEがデビュー作以来、実に11年ぶりに発表した2ndアルバム。(リリースは’98年で、日本盤は’01年に発売) 前作は内容の素晴らしさと希少性が相俟って、国内盤の中古CDが5桁のプレミア価格で取引されているメロディアスHRのお宝盤として知られていますが、本作もクオリティの高さでは全く引けを取りません。元々80年代後半に書かれたものの、発表の機会がないままスタン・ブッシュ(Vo)の手元で眠っていた音源が取りまとめられており、これほどの楽曲が陽の目を見ずに長らく埋もれさせとくなんてメロハー界の損失もいいところ。なのでNOW AND THEN RECORDSが発表に踏み切ってくれて本当に良かった。 楽曲の方向性も書かれた時期も前作とほぼほぼ同一(関わってる面子もお馴染みの顔触れ)。90年代にリリースされたスタンのソロ作に比べると、Keyを抑え気味にGの存在を強調してエネルギッシュにロックしている点も同様です。メロディをじっくり聴かせるバラード~スロー・チューンを魅力的に仕上げることなんてお茶の子さいさい、下手な人が作ったら大味に流してしまいそうな躍動感溢れるHRナンバーのメロディにも、心打つフックを仕込むスタンの曲作りの卓越した手腕には心底惚れ惚れさせられますよ。こういう人を真の職人というのでしょうな。特に高揚感を誘うサビメロが抜群なアルバム表題曲⑥、一転シリアスな雰囲気を纏ってパワフルに押し出してくる⑦、キャッチーなコーラスと歌うGがライブ映えしそうな⑧といった逸曲が並ぶ本編終盤では、その真骨頂を体感させて頂きましたよ。 近年は本作も希少盤化著しいようですが、もし中古盤屋で見かけたら是非お手に取って頂きたい1枚であります。