スラッシュ・シーンとハードコア/パンク・シーンのクロスオーバー推進に一役買ったパイオニア・バンドの一つ、マイク・ミューア(Vo)率いるカリフォルニア出身の5人組が’87年に発表した、アメリカ軍の徴兵ポスターのデザインをパロった表題とアートワークが目印の2ndアルバム。(邦題は『軍団宣言』) スケーターズ・ロックならではの疾走感は既に十分なれど、いかせんメタル側からすると音の軽さが気になったセルフ・タイトルのデビュー作。正統派HM色を強め(泣きのGソロまで聴ける)BUURN!!誌レビューじゃゴッドが高得点を献上したものの、疾走感の低下には物足りなさを覚えざるを得なかった3rd『HOW WILL I LAUGH TOMMORW WHEN I CAN’T EVEN SMILE TODAY』。この2枚の間に挟まれた本作は、ハードコア/パンク由来の爆発的スピード感と、へヴィ・メタリックなエッジの鋭さを美味しいトコ取りした、まさにクロスオーバー・スラッシュの名盤と評するに相応しい出来栄えを提示しています。 スラッシュ・メタルとしてジャッジした場合、マイク・ミューアの声の「軽さ」「線の細さ」には相変わらず迫力不足の感が否めぬまでも、緩急を取り込んでテンション高く突っ走るアルバム表題曲②や、本作から加入したバンド随一のメタル・ガイ、ロッキー・ジョージ(G)によって高速で切り刻まれるGリフが「これぞスラッシュ!」なカッコ良さを叩き付けて来る⑦といった名曲を前にすれば、そんなこたぁ些細な問題かと。 SUICIDAL TENDENCIES入門盤として、またクロスオーバー・スラッシュのジャンル入門盤としてもお薦め出来る1枚です。