1985年3月、Metal Blade Recordsよりリリースされた2ndアルバム。
前作の「Show No Mercy」の売上がMetal Blade Recordsで当時最も売れたアルバムになったため(全世界で4万枚以上)、Metal Blade Recordsの社長Brian Slagelが急きょレコーディングの予算を確保し(「Show No Mercy」のアルバム製作費用はSlayerのメンバーの自腹だった)、数名の経験豊かなプロデューサーやエンジニアも起用した。エンジニアとして雇われたRon Fairは経験豊かなサウンドエンジニアだったがヘヴィメタルのアルバム製作は初めてだった。Slayerがスタジオで演奏している様子を見て「こいつら怒り狂ってるな!」と思うほど凄まじい演奏に驚愕したという。
このアルバムでは「地獄」や「悪魔」などその後Slayerの代名詞となったテーマが使われ始め、またメンバーのKerry KingやJeff Hannemanが当時Mercyful Fateの音楽性に影響を受けていたため、複雑で曲の時間が長いプログレッシブな曲が多いのが特徴である。
Slayerのメンバーは当時を振り返り、Tom Arayaによると「今と比べたら非常に悪い待遇・環境でのレコーディングだったが、当時は本当に素晴らしいと思っていたよ」、Dave Lombardoは「何回も取り直したりシンバルの音を重ねて録るとかは全く必要なかったから、エンジニアたちが素晴らしい仕事をしてくれた」と語っている。ボーカルを録音した際に、歌詞を書いたJeff HannemanやKerry Kingが不在の中Tom Arayaとプロデューサーのみで行い、歌詞の一部のスペルが間違っている曲もあったがTom Arayaはそのまま間違ったスペルで歌って録音された。
アルバム発売に伴い、Slayer・Exodus・Venomの3バンドによる「Combat Tour」が行われ、ツアーの模様はライブビデオとしても販売された。このツアーをきっかけにExodusとSlayerのメンバーは意気投合し、その後Jeff Hannemanの病気・死去に伴うサポートギターとしてExodusのギターであるGary Holtが務めるきっかけにもなった。Dave Lombardoによると、Combat Tour中にVenomのツアーバスの中でSlayerのメンバーも飲んでいたが、Tom Arayaが酩酊状態で「トイレはどこだ?」と叫んだ際にVenomのVo/BaのCronosが「ここだ!俺の口だ!」と返した。Tom Arayaはそれを真に受けてCronosの顔と頭におしっこをしてしまい、怒ったCronosに殴られ一晩中言い争いをしていたという。またTom Arayaは目に青アザが出来たままツアーを続けた。
アルバム自体はチャートインする事はなかったが、その後のメタルシーンに与えた影響は大きく、元PanteraのヴォーカルであるPhil Anselmoは「このアルバムはへヴィミュージックにおけるすべての要素を持っている。Slayerは神であり、カルフォルニア出身のバンドとして最高のバンド」と称賛し、ギターのDimebag Darrellはギター雑誌の企画で「最も好きな12曲」の中に収録曲である「At Dawn They Sleep」を入れている。
Brian Slagelによると、現在までに世界中でトータル100万枚以上売れておりミリオンセラーのアルバムになっているとの事。
Recorded:September 15 - late 1984 at Eldorado Studios in Hollywood, Los Angeles, California
Producer:Slayer, Brian Slagel