この曲を聴け! 

Temple of Shadows / ANGRA
殺戮の聖典 ★★ (2006-07-31 01:42:00)
前作「REBIRTH」の成功によって以前と変わらぬ実力と音楽性を備えていることを世間に知らしめた新生ANGRAが、真の意味でファンを惹きつけることのできるバンドであるかを世に問うたのが作品であり、個人的にもアルバムを聴くまで期待と不安を抱いていた。
しかし、彼らはそんなプレッシャーをもはねのけ、バンドの最高傑作といっても過言ではない名作を作り上げた。
'04年に発表された本作は、11世紀ヨーロッパにおける十字軍のエルサレム遠征をテーマにしたコンセプト・アルバムである。
プロデューサーは前作に引き続きPINK CREAM 69のデニス・ワードであるが、音の分厚さがこれまでになく増しており、情報量の多いアルバムとなっている。
バンドの演奏テクニックは相変わらず素晴らしく、前作ではやや線が細く感じられたエドゥのヴォーカルも押し引きを覚えた素晴らしい歌唱を聴かせてくれる。
神秘的なメロディの「DEUS LE VOLT!」からスピーディなメロディック・パワー・メタル史に残る超名曲「SPREAD YOUR FIRE」への完璧な流れを始め、スリリングなギター・リフと激しいツー・バスを聴かせる「ANGELS AND DEMONS」、勇ましくも愁いを帯びたメロディの「WAITING SILENCE」、爽快感のある美しさを持ったバラード「WISHING WELL」、GAMMA RAYのカイ・ハンセンとのツイン・ヴォーカルによるANGRA史上最も速い超激走チューン「THE TEMPLE OF HATE」、目まぐるしく展開するプログレッシヴ大曲「THE SHADOW HANTER」、エドゥの伸びやかな歌唱が素晴らしい「NO PAIN FOR THE DEAD」、BLIND GUARDIANのハンズィ・キアシュが参加した、エッジの利いたヘヴィ・チューン「WINDS OF DESTINATION」、民族音楽的なオリエンタル・ムードを放つ「SPROUTS OF TIME」、おそろしくテクニカルで流麗なギター・プレイが聴ける「MORNING STAR」、グラミー賞受賞経験もあるブラジル人アーティスト、ミルトン・ナシメントが素晴らしい歌唱を聴かせる「LATE REDEMPTION」、これまでの楽曲をオーケストレーションで綴るエンディング曲「GATE XIII」と、素晴らしい楽曲がアルバムをよりドラマティックなものにしている。
常にアルバム全体として楽しみたいコンセプト・アルバムの名盤。

→同意