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無罪モラトリアム / 椎名林檎
ゆうにゃん ★★ (2005-11-09 21:50:00)
自らを新宿系自作自演屋と称する彼女は、その空想力(妄想力?)で何種類もの自分の分身である“私"を演じてきた。
このアルバムでは大人への背伸びをしている“私"、ノスタルジーに浸る“私"、強がりな“私"などが描かれている。
そして「モラトリアムな時期にもがく“私"は無罪である」と詠われる本作は、実に爽やかさに満ちている。
トラウマを持つ者なら誰しもこのメッセージに魅了されるだろう(私もその1人でした…)。
勿論、音楽的にも素晴らしい。
シングルでは清々しいテイストだった「幸福論」をノイジーなパンクヴァージョンでブチ壊したり、現代の中島みゆきと言わしめたダークな「同じ夜」など、一筋縄ではいかない。
11曲(41分)があっという間に駆け抜けていく。
…椎名林檎は狂騒だったのかもしれない。
デヴィッド・ボウイはかつて異星からやってきたロック・スター“ジギー"に扮し、その隆盛と破滅を表現しきった。
彼女もまた、宣言どおり3枚のアルバムで“椎名林檎"を葬った。
「ROCK'N'ROLL SUICIDE」である。
私は東京事変はまだ聴いていないが、これで良かったのだと思っている。
いつの日かまた、椎名林檎が再評価される日が来るだろう。
そうでなければならない…。
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