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Innocent Victim / URIAH HEEP
火薬バカ一代 ★★ (2010-08-29 01:15:00)
ジョン・ロートン(Vo)在籍時代の最高傑作と言えば、10th『FIREFLY』がトドメを刺すが、セールス面のみで
評価するなら、ヒットシングル“FREE ME"を収録した本作の方が代表作と言う事になるのだろうか?
初めてこのアルバムを聴いた時のショックは相当なもので、こちとら永遠の名曲“哀れみの涙"を収録した
前作『FIREFLY』の作風を受け継ぐ、淡い泣きメロ満載のファンタジックな作品を期待していたのに、
いきなり始まったのは、トレバー・ボルダーのBが軽快にチョッパる朗らかなアメリカン・ロック・チューン①・・・。
以降もその手の楽曲が連続し、ヒット・シングル④は西海岸の風がそよいできそうなポップ・ソングだわ、
⑧に至ってはレゲエ調と来たもんだ。(URIAH HEEPのトレードマークの1つであるボーカル・ハーモニーも、
妖しさや美しさの演出からお洒落さの演出へと、明らかにその使用目的が変化している)
尤も、ヨーロピアンな湿り気が薄れたとは言え、メロディは相変わらず強力なフックを有している辺りは流石で
例えばレゲエ風味の⑧にしても、ケン・ヘンズレーのKeyが曲調に哀愁を加味しているお陰で能天気さは皆無。
当初のショックから立ち直ってよくよく本作を味わってみれば、初期RIOTを思わすHRナンバー③、
「よりアグレッシブな“EASY LIVIN'"」といった趣きの④、タイトル通りの幻想美を宿したバラード⑤、
ジョン・ロートンの熱唱が映える劇的なラスト・ナンバー⑨等、結構聴き応えのある楽曲の存在にも気付かされます。
ファンが彼らにこうしたサウンドを求めているかどうかはさて置き、質は高い1枚。

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