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Battle Hymns / MANOWAR
火薬バカ一代 ★★★ (2007-06-05 21:36:00)
'82年発表の記念すべきデビュー作。レコード会社と契約を交わす時、自分達の血でサインとか、国内盤の邦題が『地獄の鎮魂歌』だったとか、語り継がれる仰々しいエピソードの数々に反して、内容は明るいメロディを持った、ノリの良い楽曲が大半を占める。
尤も、ロックンロール・テイストはMANOWARというバンドを構成する重要な一要素なので、本作をして「異色作」と呼ぶには当たらない。それにアルバム中盤以降には、俳優のオーソン・ウェルズの語りをフィーチュアした⑥、ファンにはライブのエンディング曲としてお馴染みの、劇的極まりない⑧といったドラマチックな名曲が並び、実際のところ、聴き終えた後の印象は2nd以降のアルバムと大差ない感じ。
バンドの2枚看板であるジョーイ・ディマイオ閣下のBと、エリック・アダムスの超絶Voは既にその存在感を存分に発揮していて、前者はクラシックの有名曲をベース1本でカヴァーした⑦が最大の聴き所。エリックのVoは、比較的ストレートな楽曲が多く収録されているアルバムゆえ才能全開とまではいかないものの、坂本英三も自らカヴァーするぐらい大好きな②、バンドのテーマ曲であり、ライブのOPナンバーでもある⑤といったノリノリの曲調を備えた楽曲を、彼がドラマチックな歌唱で歌い上げるミスマッチ感は非常にユニークで味わい深い。
お世辞にも良好とは言い難いサウンド・プロダクションと、ドニー・ヘムズィクの大人しめのDsの影響か、後の作品ほどのスケールの大きさは伝わって来ないが、明るい曲を演っても決して能天気にはならない、NY出身のバンドらしい硬派なサウンドが堪能できる名作。
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