この曲を聴け! 

Stormblåst / DIMMU BORGIR
Usher-to-the-ETHER ★★★ (2008-10-24 19:26:00)
96年発表の2nd。
同じシンフォブラックでも、今の彼らが取りこぼしてしまった物が詰まった作品だと思います。

まず曲の方ですが、この頃はスピードやブルータリティに頼ることなく、ミディアムテンポで丁寧に情景を描写していくタイプのシンフォブラックを演ってますね。メロディはフックはありつつも、目立ちすぎて、「曲全体を通じて情景を描くことで聴き手を没頭させていく展開」を損なう事のない控え目さもあって、かなりセンスが良い。時々展開や音の処理に不可解な所も見受けられますが、洗練されすぎてて醒めてしまうことのない程度の生々しさを加味していて良いと思います。

音の方も、近作ほど重金属的な音質ではなく、どこかアナログな質感のある音質で、メタルとしての攻撃性や耳への圧力が情景を壊してしまう事のない自然な音になっていると思います。この手にありがちな、メタリックさと情景描写のバランスを取ろうとして却って聴きづらい音になることがなく、耳に優しめの聴きやすい音なのも良いですね。

上の方も言われてますが、音質面でも「風景である事が揺るがない」感じです。この頃の彼らの作風って、どこかMORTIISやWONGRAVEN、後期THOU SHALT SUFFERなどのブラック系アンビエント作品をメタル化したような、独特の雰囲気があるんですよね。はっきり言って、比較したら情景描写能力では今の彼らでは話にならないと言えるかも。尤も、エクストリームメタルとしてのレベルの高さを比べたら評価は逆になるんですが…。

どっちが良いかは聴き手次第ですね。
私もその時のテンションでどっちが好みかは変わってくるし。それでも敢えて言うなら、この頃の彼らの作品の方が、音楽を聴いている事を忘れさせるまでにリスナーを没頭させる可能性があると言えるのではないでしょうか。個人的に、このアルバムの4曲目のインストがゲーム音楽のカヴァー(というか勝手に使ってるらしい)で、しかもメロディの一部がRPG「空の軌跡」の「星の在り処」みたいでお気に入りな分、ちょっと下駄履かせた評価になってるかもしれません(笑)。どうせならハーモニカでやって欲しかったかも(笑)。

→同意