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Handful of Rain / SAVATAGE
火薬バカ一代 ★★ (2007-08-02 21:34:00)
クリス・オリヴァの突然の事故死という悲劇を乗り越え、その後任に元TESTAMENTのアレックス・スコルニックを
起用して、'94年に発表された8thアルバム。・・・なのだが、正直、完成度の方は余り芳しくない。
出来/不出来の差がかなり激しい収録曲は、メイン・ソングライターだったクリスを失ったバンドの混乱の大きさを
如実に物語っているし、また、そうした楽曲を無理に声を歪ませて、へヴィに歌おうとするザッカリー・スティーヴンスのVoも
音程の甘さを露呈(クリーン・トーンでの歌唱は、相変わらず伸びやかで素晴しいんだけど)。
そして何より、華やかで、よく泣きよく歌う、クリス・オリヴァのヨーロピアン・フィーリングに溢れたGを欠いた事で、
作品全体がダークで重苦しい雰囲気に包まれてしまっているのが痛過ぎる。耐え難い悲劇を経験したバンドに
「華やかな作品を作れ」なんてのは難しい(無理な)注文だし、アレックスもクリスの抜けた穴を埋めるべく、
随所で気合の入ったGプレイを披露してくれているのだが、それでもメロディの弱さは如何ともし難い・・・というのが客観的な感想。
但し、6th『STREETS A ROCK OPERA』を最後にバンドを去ったジョン・オリヴァが、曲作りに全面的に
協力している事もあって(Keyも弾いてるようだ)、ピアノをフィーチュアした“GUTTER BALLET"型の
ドラマチック・チューン⑤⑦や、オペラティックな曲展開と、幾層にも重ねられたカウンター・パーツが
本作以降の曲作りの方向性を決定付けた名曲③、そしてクリス・オリヴァに捧げられた感動的な大作⑩と、
ダークな作風の中でキラリと光を放つ楽曲もちゃんと収録されているので、本作は決して駄作などではないので誤解なきよう。
そもそも、解散の危機を乗り越えてSAVATAGEが新作を作り上げてくれた事にこそ最大の意義があり、
個人的にはそれだけで満点を進呈したいぐらいのアルバムである。
→同意