この曲を聴け! 

The Dark Side of the Moon / PINK FLOYD
チョッパー ★★ (2005-03-12 00:25:00)
このアルバムに対する美辞麗句はもう枚挙に暇がない程である。通して聴くとあまり感じないが、
ひとつひとつの曲を見ていくと比較的短く、ヴォーカル中心の良質なポップソング集である事がわかる。
それらをフロイド特有の効果音などで繋げ、歌詞に統一感を持たせて、あたかも全体で意味があるように仕上げている。
加えてそれぞれが見事なほど性格が異なっており、まるで映画の如く曲ごとにイメージが変わるので長さを感じさせない。
これによって聴き手は「高尚なモノを聴いた、おりこうさんになった」ような気分になるのだ。
フロイドは後の作品でこの方法論を発展させている。「炎」や「アニマルズ」では1曲を分けて最初と最後に前半後半
と言う風にして形から見せている。「壁」や「FC」にいたってはなにをかいわんやである。
ギルモア・フロイドはこの部分が大きく欠けているので「フロイドらしくない」と批判されるのだ。
(もちろんギルモアは充分理解した上でロジャーとは違うやり方に出ているのであろう)
聴き手はこの製作者側の術中にはまらなければ、このアルバムの恩恵を受ける事はできない。
単に曲が素晴らしいだけではこれほどの評価とセールスにはならなかったであろう。
これはフロイドが提示した当時まったく新しいやり方であり、しかも上手くやれるのは後にも先にもフロイドだけ、
まさにフロイドがオンリーワンになった金字塔なのだ。

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