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Rise to Offend / ANVIL BITCH
火薬バカ一代 ★★ (2025-02-05 23:49:52)
ANVILとBITCHというアメリカの中学生が「メタルっぽくてカッコ良くね?」と思い付いたような単語二つを組み合わせてバンド名にしてしまった(かどうかは不明)フィラデルフィア出身の4人組が'86年に発表した1stアルバム。音は聴いたことなくとも不思議なジャケットとバンド名に見覚えがあるというスラッシュ・メタル愛好家も少なくないのではないでしょうか。
リリース当時BURRN!!誌で酷評され、それに腹を立てたレーベルが本作の日本への出荷を拒否したなんて噂話も小耳に挟んだ記憶がある本作は、実際問題として迫力不足のシャウトVo、弾ききれないG、モタるリズム、演奏のキレのなさに拍車を掛けるチープなプロダクション…と、内容的にかなり厳しい出来栄えであることは疑いようのない事実。それこそ10代の頃だったら「こりゃヒデェ」と切って捨ててた気がしますが、年食って改めて聴き直すと、自分達が理想とするサウンドに少しでも手を届かそうと必死に爪先立ちする様が何だか嫌いになれないんですよね(このバンドに限った話ではなく)。
パワー・メタリックな味わいも加味して全力疾走する⑩やバンドのテーマ曲⑫、ツインGを有用した㉑(ボーナストラックとして収録)なんて普通にカッコ良い出来栄えですし、何より「ヤヤヤー、ヤヤヤー」という脱力感満点のギャング・コーラスをフィーチュアして突っ走る⑦が色々な意味で強烈なインパクト。「うーん、ダサい!もう1回!」と青汁飲んだ八名信夫ばりにおかわりを所望したくなる珍曲に仕上がっていますよ。
「底は浅いが奥は深い」と評されるNEW RENAISSANCE RECORDSのカタログの中でとりわけ記憶に残る作品の一つ。ただ、だいぶ下駄履かせてこの文章書いてるのでクオリティは保証の限りじゃありませんが…。
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