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Wild Cats / 本田美奈子
火薬バカ一代 ★★ (2024-09-18 23:47:08)
ゲイリー・ムーアやブライアン・メイとコラボって“THE CROSS~愛の十字架”“CANCEL”“CRAZY NIGHTS”を発表する等、ロック色を強めた活動を行っていた時期の本田美奈子が、新たに女性メンバーのみで構成されたMINAKO WITH WILD CATSを結成して'88年にリリースした作品(この名義では一作目)。
活動期間は短命で、本田以外のメンバーは名前すらあやふやと、正式なバンドと呼ぶには実態が伴っておらず、正直「話題作り」以上の意味はないと思っていたのですが、後追いで本作を聴いてビックリ。いや良く出来ているんですよ、これが。ゴリゴリのHR路線ではなく、あくまで彼女のVoを生かした歌謡ロック・サウンドを基軸としつつも、手練れのソングライター陣のバックアップ、そして何よりプロフェッショナルなシンガーとして凄みすら漂わす本田の歌唱が強力なフックとして機能する楽曲は、ハードなGをフィーチュアして駆け抜けていく②、映画『キル・ビル』挿入歌として日本でも知名度を上げたナンシー・シナトラの名曲“BANG BANG”を重厚にカヴァーした④、本編のハイライトとして燦然と輝くドラマティックな泣きのバラード⑧を筆頭に、舐めてかかったこちらが逆に姿勢を正されてしまうクオリティを提示。リーダー・トラックとして収録された忌野清志郎提供⑪の「芸能界」っぽい色合いが逆に浮いてるように感じられるぐらいですよ。
アイドル時代、あるいは白血病と闘った晩年の(ある種神格化された)イメージが強い本田美奈子が、音楽面において試行錯誤を重ねていた時期に生み出した隠れた良作。ガールズ・ロック花盛りな現在の方が正当に評価されるのではないでしょうか。

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