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Heathen Cross / CLOVEN HOOF
失恋船長 ★★★ (2024-06-25 20:19:28)
80年代に素晴らしいアルバムをリリースしたのですがチャンスを掴めなかった典型的なバンド。運も実力のうちと言うが、このバンドはその言葉を呪われているほどに体現している。
怪しげなSEからパワフルかつメロディックなメタルソングで幕開け、このバンドのイメージに則したものであり完璧に掴みはOKである。そしてそのサタニカルなサウンドは②以降も続き、この屈強なNWOBHM仕込みのパワフルサウンドに、耳を惹く印象的なメロディを放り込むギターを軸に、タイラントことハリー・コンクリンは漆黒の闇に包まれた悪の毒された呪詛の咆哮を轟かす。
いい人選だ、キング・ダイアモンドほどシアトリカルではないが、彼には、このサタニカルなサウンドを司るパフォーマンスを期待できる。リフ、一つとっても不気味、キーボードの使い方も絶妙、奥行きを与え毒性を中和した。
HIGH ROLLER RECORDSが絡んでいるのだから外すわけがないのだが、ここまでドンピシャの音を作り上げるとは驚きだ。ある意味、もっとも1stの世界観に近いアルバムを作り上げたのかも知れない。そのクオリティの高さは全時代を総括するものであり、メロディありパワーあり、疾走ありとメタルを愛するものにはとっては必要不可欠な要素を端的に盛り込んだ作風は、とても親しみやすいものとなるだろう。今年はクラシックメタルの世界にとっては豊作だ。
有名無名にかかわらず良質な作品がリリースされている。全盛期を越えた作風を築いた今作もまた、歴史に刻まれる名盤であろう。
過去をなぞるだけではない英国的様式美スタイルとUSパワーメタルの融合、闇を切り裂く雷鳴の如きサウンドは、新時代のクラシックメタルのあり方を魅せてくれた。重厚だがキャッチーさを忘れていないアイデア、ブリティッシュメタルの真骨頂を体感させて貰った。
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