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II / YA YA
火薬バカ一代 ★★★ (2024-06-25 00:00:59)
元FASTAWAYのリー・ハートというと、個人的には「80年代後半から90年代前半にかけて玉石混合プロジェクト乱発した、アーティストというよりは業者」的なイメージがつきまとう人物なのですが、勿論素晴らしい作品だって何枚も残しておりまして、彼が結成に関与したこのYA YAも「大当たり」に分類されて然るべきバンドの一つではないかと。
といってもYA YAが'88年に本2ndアルバムを発表した頃には既にリーはバンドから脱退済みで、代わりに歌っているのはサム・ブルーなる御仁。後にヴィニー・バーンズのソロ作に参加している彼のキャリアからもお判り頂ける通り歌の上手さは折り紙付きですし、キラキラなシンセとハーモニーで厚めにお化粧されたハードポップ・サウンドのクオリティにしても微塵の揺るぎもなし。あまりにあまりなジャケット(これでイケル!とGOサイン出した責任者の正気を疑うレベル)がもうちょい音楽性にフィットしたモノだったら、ちゃんと話題になってビッグ・セールス記録してたんじゃなかろうか?と思わずにはいられませんよ。
OPに相応しく快活に躍動する①、イントロからGが歌い、フックの効きまくったサビメロにハッとさせられる②や、キャッチーに弾むハードポップのお手本の如き⑥、JOURNEYを思わせる感動的なバラード⑧といった名曲を筆頭に、コマーシャル路線にがっつり寄り添いつつも、どうしても明るくなりきれず哀愁が漂ってしまうという英国産ハードポップの美点がたっぷりと堪能できる1枚に仕上がっています。
SHYやTOBRUK、先日再発されたGLASGOW辺りに親しむ向きにはお薦めしたい隠れた名作。長らく廃盤状態が続く1st『SCARRED』の再発も是非お願い致します。

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