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Power / KANSAS
失恋船長 ★★★ (2022-07-06 15:28:59)
今聴いても、これがあのカンサスなのかという印象は拭えません。商業的な成功を念頭に置いて制作されたのは間違いない。その割にヒットとは言えない状況だったのは残念だが、それでは駄作と切り捨てるのはチョイと違うのです。
スティーヴ・ウォルシュが戻り、さぁあのカンサスが聴けるのかなぁと期待すると駄作ですが、時代性を真っ向から受け止めハツラツとした、ストレートなハードさとポップフィーリング、そして熱の籠もった哀愁を散りばめ、嫌みの無い一線級のサウンドとして仕上げています。
とにかく時代と真っ向から向き合っています。ある意味、側は軽めの売れ線志向ですが、その芯にあるサウンドはアホでは出来ない知性を秘めており、今となっては逆に聴けないスタイルとして重宝できるサウンドかと思います。やっぱり④ドラマあるもんねぇ。
ギターチームもさることながら一線級の腕利きミュージシャンが揃っているだけに、アイデアの渋滞は起きていません。各自が持ち味を発揮しつつも拡散させないパワーこそ、このアルバム最大の聴き所でしょう。
売れ線志向という批評はけしてマイナスではなく、このバンドが純粋に成功を手にしようとしただけにであり、けして質は低くない。大衆性だけじゃないアーティスト気質、その両面を味わえる名盤と言えるでしょう。後半に進むにつれアルバムの作風に引き寄せるパワーがある点も見逃せません。カンサスに何を求めるかで評価も大きく分かれそうですが、名前に拘り過ぎなければ全然イケるアルバムですよ。
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