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The First Album / WILD HORSES
火薬バカ一代 ★★★ (2021-06-08 00:03:16)
NWOBHMの盛り上がりは新人の台頭とベテランの奮起によって支えられており、そのベテラン側に属していたバンドの一つとして知られるのが、このWILD HORSES。THIN LIZZYから脱退したブライアン・ロバートソン(G)と、元RAINBOWのジミー・ベイン(Vo、B)を中心に、後にUFOに参加するニール・カーター(G)、PAT TRAVERS BANDやLIONHEART等での活動で知られるクライヴ・エドワーズ(Ds)という布陣で結成された彼らが、トレヴァー・ラビンをプロデューサーに起用して'79年に発表したデビュー作がこちら。
日本ではIRON MAIDEN、DEF LEPPARD、GIRLと共に「NWOBHM四天王」として紹介されたバンドなれど、実際のところは他の3バンドから「フフフ、奴は四天王中でも最弱…」とか言われてしまいそうなNWOBHM度数の低さ。そもそもバンド自身にNWOBHMの一員との認識はなかったでしょうし、フィル・ライノットやスコット・ゴーハムとの共作曲も収録する本作で聴かれるのは、THIN LIZZYに通じる快活なロックンロール・サウンド。ジミーのVoに強烈な個性が欠けるのと、これといったキメ曲も見当たらないため初めて聴いた当時の感想は「なんか地味じゃね?」と冴えないものでしたが、今となっては「そこが良いんじゃない!」と。クライヴのドラミングがもっさりと頑張る本編中最もハードロッキンな①、2本のGが奏でる懐っこいメロディがTHIN LIZZY風味を醸し出す②、しんみりと哀愁薫るバラード④等、英国産らしい明るくなりきれないポップ・センスが活かさたHRサウンドを彩るブライアンのGプレイも、全編に亘って実によく歌ってくれています。
一発で掴まれるというよりは、じわじわと浸透してくる、聴くほどに好きなる1枚ですよ。

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