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Big Bang / HEAVY PETTIN'
失恋船長 ★★★ (2020-09-06 14:31:40)
ひっそりと1989年にリリースされた3枚目のアルバム。それもその筈で、既に解散したバンドのお蔵入り作が世に出た形となった。1987年には、ここから②⑦を収録した3曲入りのEPをPOLYDORから出していただけに、持ちこたえられなかったのは残念である。厚みのあるコーラスワークの使い方やリフやコード進行など、デフレパードに似ていると陰口を叩かれるバンドだったが、性急すぎた音楽性の変貌、そのイメージチェンジのえげつなさにメンバー共々ついてこれなかったのかなぁと勝手に推察しますね。
2ndの方向性をさらに推し進め、ポップロック度も倍増。キーボードも多用し軽やかなハードポップサウンドを大導入。THIS IS AMERICA~と爽快な歌が始まった途端に、一旦停止を押したもんねぇ。
それでも耳を澄ませば、強力なハイトーンは甘めの曲に良く絡み個性を発揮、ツインギターコンビも複雑ではあろうが、時折メタリックなバンドだったんだということを思い起こさせてくれる瞬間もあり、お仕事感が出ているのが辛い。しかし、完全に迷いを払拭し、徹底的にやり切った音楽性、英国産ハードポップサウンドの魅力は、何ら避難されるものではなく、その手のメロディアスロックが好きな人なら大いに楽しめるでしょう。
先行シングルの②なんてホーンセクションも絡み、大人の魅力を発散、しっとりとした情緒のある音楽性を堪能できますよ。ミキシング&プロデュースにトニー・タバナーの名前もあり、丸々アメリカンにならずに済んでいますね。
このバンドが直面した問題。メタルにおける英国市場の没落、新たなる行き場を求め米国仕様になるしかなかった。しかし、捨てきれなかったメタルバンドの矜持。ヴォーカル・ハーモニー中心のソフト路線に進もうとも、デフ・レパードには成り切れなかった。それに尽きますね。
当時はわりと否定的だったのに、今の方がノリノリで聴けるのだから不思議です。なかなか見かける機会の少ない一品でしたが、Burntout Wreckordsから、シングル収録のみの2曲をボートラで追加されて再発されています。そっちは聴いたことがないので詳細は分かりませんが、目まぐるしく移り変わる当時のミュージックシーン、このバンドを通して栄枯盛衰を肌で感じてください。
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