この曲を聴け! 

Clockwork Immortality / LOVEBITES
Tamasa ★★★ (2020-08-14 20:27:18)
日本の至宝の2nd。出来過ぎの1st、歴史的傑作3rdに挟まれ、後の印象は地味なものになるかもしれない。前作が、1stの世界観をそのまま引き継ぎスケールアップしたようなミニアルバムBattle Against Damnationであっただけに、その印象は尚更。音を分離重視でカラッとしたものにして音像を広げてきたのも、線が細く感じられる一因かと思う。ただ、恐らく一般のリスナーには1stよりこちらの音の方が聴きやすいはず。

当時のLOVEBITESは、1stから半年少しでミニアルバムリリース、更にMetal Hammer Best New Band受賞、Wacken Open Air出演、Bloodstock出演、X-Ray Touring & Nuclea Blast契約、国内各種フェス出演、初の欧州ツアー…と、書いているだけでも疲れて来る快進撃中。そんな中、前作から半年で曲のダブリなしのフルアルバムリリースは、相当なハードワークであったであろうことが偲ばれる。ファンの期待もMaxであったために、リリース直後は厳しい意見も聞こえて来た。

時間的な余裕のなさは多少見て取れる。miyako曲は、彼女の持ち味である過剰なまでの凝りまくった構成があっさり気味だし、こちらも本来凝りすぎなharunaのドラムも手数少な目。また、asamiも中音域を前面に押し出したものが多く、ひれ伏すようなパワー感が控え目であることも、印象に輪をかける結果になっていると思われる。
しかし実際、曲は悪くない。ここに来て(軸をブラすことなく)バリエーションを増やすことにも成功している。②、⑧は普遍的なカッコ良さ、⑨は彼女たちらしい終始ツインギターが映える正統派のメロディックパワーメタル、③も中間部のピアノアレンジがドラマチックな佳曲。意外だったのはアルバムの中ではそう耳を惹かなかった④が、後にライブでのハイライトにまでなった事だった。2ndはライブ映えする曲だというバンドのコメントは、言い訳ではなかったのだ。
前作までが規格外の凄さだったために割を食いそうなアルバムだが、デビューしたばかりのバンドの作品だと考えると、これはこれでとんでもない出来ではある。次作で更なる高みに行く事にはなるのだが。


付属のDVDは、この時点でベストパフォーマンスだといわれたO-EASTの公演を丸々収めたもの。
未だ持ち曲16曲の時の全曲公演で、MCほぼなしで終始緊張感を保ち続けるというのも凄いが、CDを軽々超えて来るasamiの力には度肝を抜かれた。特に⑧inspire ⑪Liar ⑮Edge Of The Worldは圧巻。ライブバンドLOVEBITESの実力を思い知らされる。
カメラワークに多少の難はあるが、音も良いし、このDVDを手にするためだけに買っても後悔しないパフォーマンスだった。

→同意