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III: Tabula Rasa or Death and the Seven Pillars / THE DEVILS BLOOD / THE DEVILS BLOOD
kamiko! ★★★ (2020-07-13 12:05:13)
オランダ産サイケ・カルトロック2013年作
ブラックやドゥームではないのに濃厚なサタニズムが感じられるサウンド、純粋なハードロックでもなく濃いサイケデリックロックでもない。
かといってKing Diamondのようなホラーエンターテイナー的なコマーシャルなサウンドでもなく、一口では言い表せない音楽性の持ち主だ。
ローファイな録音、ナマ音に近いギターから、70年代のBlack SabbathやBlack Widowあたりが近いが、ヘヴィではなくオルガンも無い。
初っ端20分超の大曲で、魔性を帯びた女声ヴォーカルやコーラスが前面に登場することで、濃いサタニズム体験を味わうことができるが
Guns and Rosesのスラッシュをフェイバリットギタリストに挙げるギターヴォーカルのSelim Lemouchiの味わい深いギターワークが
このサウンドの最大の聴きどころであるのは間違いない。なるほど、トリッキーなギターワークに偏らないスラッシュ的な味わいが感じられないでもない。
また、この作品は未完成作品をCD化したものだ。というのも、非常に残念だがこのギタリストは33歳で自殺し、バンドも解散している。
サタニックな世界観で70年代的なロックサウンドをベースに、やや前衛的なフレーズ、味わい深いギターワーク中心の音楽性というサウンドだ。
厚手のボール紙のようなCDケースには背表紙にも全く文字が書かれておらず、手に取っただけでは一体誰なのかさっぱりわからない。
中身のライナーも魔性を帯びたフォントで書かれた文字で、デザイン的に素晴らしいが、こういう作品は収納や扱いに若干困るのが玉に瑕だ。
濃いサイケデリックではないと冒頭に書いたが、サイケ臭は薄めに漂っている。サタニック路線では一線を画すとても面白いサウンドで
古典的手法に近い演奏様式なので、ブラックやドゥームといった濃いリスナーよりも、70年代を好み、やや前衛寄りを好むリスナーにオススメだ。

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