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Saraya / SARAYA
火薬バカ一代 ★★★ (2020-01-07 00:50:26)
VIXENの成功が契機だったのか、80年代後半から女性ミュージシャンをフィーチュアしたバンド――ゴリゴリのHM路線ではなく洗練されたメロハー系――がポツポツと日本デビューを飾るようになり、個人的にその中でも印象残っているバンドの一つが、サンディ・サルヴァドールをフロント・パーソンに戴き、彼女のセカンド・ネームからバンド名を取ってSARAYA(サライヤ)を名乗ったニュージャージー出身の5人組。
2枚のアルバムを残して解散してしまったこの短命なバンド、本作は彼女らが'89年に発表した1stアルバムで、プロデュースはKANSASやゲイリー・ムーア等との仕事で知られるジェフ・グリックスマンが担当。開幕役を担う①がブルージーな味わいの、どちらかと言えば地味めな楽曲ゆえ「またぞろブルーズ・ブームにいっちょ噛みするべく現れた連中か」と警戒してしまいましたが、続く②は初期BON JOVIを思わせる哀愁のメロハー。離れかけていたこちらのハートを再びグッと手繰り寄せてくれます。以降は、ムーディに盛り上がっていく④や美しいピアノのイントロからHR然とした疾走へ転じるアグレッシブな⑦、ヒット・チャートを賑わしてもおかしくなかったキャッチーな⑧からメロウなバラード⑨まで、聴き終えてみると本編には実に多彩な楽曲が揃っていたことに気付かされます。
全体的にやや優等生的な仕上がりで強烈なパンチには欠けるものの、Key奏者にして曲作りの担い手グレッグ・ミュナーの才と、彼が腕を振るった楽曲をハスキーボイスでパワフルに歌い上げるサライヤ嬢のシンガーとしての実力を納得するのには十分なクオリティを有する1枚。長らく国内盤が廃盤状態のままほったらかしってのが納得いきませんね。

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