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今週のアルバム10選
失恋船長 (2019-11-11 20:51:33)
『思い出の国産メタル100選その⑩』
①ANTHEM『Engraved』
森川復帰後2枚目のアルバム。完全復活を印象付けた森川之雄のストロングヴォイス。その獣性を帯びつつも艶やかな歌声は唯一無二の個性を放っていた。
自らが築き上げたアンセム節。類型的な面も感じるが、今作は清水の曲を多く取り入れることでマンネリ打破を遂げてる。類似性と言っても高次元での再構築。付け焼刃やアイデア不足からくる、確信犯的なやり口とは無縁だ。
ここいらで外部からの血を取り入れるのもありだろう。
②DUEL『DEATH WISH』
男の哀愁を纏ったパワフルサウンドが信条のバンド。そのハードボイルド路線のサウンドはTANKに通ずるものがあるでしょう。チャールズ・ブロンソンに捧げると言うサブタイトルに胸が焦がれますが、それに負けない充実ぶりに目を見張りますね。男ならこの世界観に共感出来るでしょう。
③NEGAROBO『EMERGENCY』
北の大地から現れた殺戮スラッシュマシーン軍団。殺傷力抜群のリフと全てを飲み込むパワーリズム。その豪胆極まりないアグレッションと、切れ味鋭いスラッシュサウンドは、カリスマ性すら漂わせていた。フルアルバムが今作のみで終わった為に、認知度も低く再発もないだけに知る人ぞ知る存在になってしまったが、ドラマーの鈴木はラウドネスに参加したので、今ならもっと評価されるバンドとなるであろう。1997年というリリース時期に泣かされたとも言える。
④MOONSTRUCK『MOONSTRUCK』
ジャパニーズ様式美メタルの権化たるテラローザからの影響も著しい大阪のバンド。似て非なるものを作り出す才に日本人は秀でていると個人的には思うのだが、このバンドなど、その最たる例であろう。活動時期が90年代の為に、辛酸なめ尽くす形となったが、この手のバンドを応援するマニアは全国にいるはずなので、今なら、もっと評価される部分は多いはずだ。
YOU TUBEの影響は計り知れない。日本がダメでも世界がある。EPと手売り感のあるデモCD-Rだけで終わるバンドではないと思っているのでね。
⑤MEPHISTOPHELES『METAL ON METAL』
メジャーデビューに最も近いバンドと言われつつも解散の道を選んだ彼らが突如復活。梅原のもう一つのプロジェクト、ERASERHEADの曲と抱き合わせでのリリースとなっているが、なんら違和感や遜色のない同系列のサウンドを披露。これぞメフィストフェレスと言いたくなるような勢いに満ちた、ヘヴィメタルサウンドを轟かせてくれた。ゲストで清水昭男やガーゴイルのメンバーが参加、話題性もありました。
⑥MAZERAN『MAZERAN』
関西出身の彼らが、知らないうちに日米英の混合バンドになっていた。プロデュースに白田一秀を迎え、日本的な解釈を交えた本格派のハードサウンドを披露。粗さもあるが、ガチッとハマった時に感じさせるスケールの大きさが好きだった。シンガーはジェフ・スコット・ソートがいたパンサーで唄っていたのも、個人的にはテンションアップ材料だった。
⑦FASTKILL『INFERNAL THRASHING HOLOCAUST』
2004年にリリースされた1st。無駄を省いたコンパクトな楽曲は、とにかく勢いに満ち溢れている。スラッシュ由来の攻撃性とスピード感、ハイピッチなヴォーカルと全てのテンションが高い。その清いまでの裏切りのない謹製スラッシュサウンドを奏でる新人が日本から出てきた事が何よりも嬉しい出来事だった。日本には根強く残る海外志向。何をやっても海の向こうのバンドは凄いいうバイアスが掛った輩は無視して、世界に向けて精力的に発信して欲しい。このポテンシャルを埋もらせるは惜しい。
⑧HARD GEAR『INFINITIVAL ABILITY』
元サーベルタイガーの田中康治と渡辺徹らが中心となりバンド結成。サーベルとの類似性も高い、キメまくり高度な演奏とフックに富んだメロディ。田中のソングライティング力の高さを思いっきり堪能できる。スケールの大きいバンドサウンドを引っ提げ精力的に活動していたらしいが、竹内聡と青柳慎一郎、礒田良雄は下山と合流。なんだかついていないバンドだった印象が強い。ドラムは水野泰宏を発掘したのは、このバンドですよ。本当にサーベルタイガーファミリー感が強いバンドです。
⑨Jill's Project 『Last Contract』
岡垣正志の様式美プロジェクトなのだが、元はパチンコ関連の楽曲制作がスタートだと言うのだから驚きだ。知らないうちにパチンコライターに転職していたアニカツこと関勝美がキーパーソンなのだが、参加メンバーがエグイ。スナイパー、テラローザ、ウルフ、ハリースキュアリーなどの歴戦の兵が顔を揃える形となった。この豪華ラインナップが繰り広げる様式美ワールドの充実ぶりに驚きましたね。パチンコ関連という色眼鏡で見ていた自分が恥ずかしい。スキのない完璧なアルバムだった。このアルバム以降はゲーム関連のメタルアレンジで金を稼いでいるようですね。これが国内のメタルシーンの現状かと思うと胸が痛くなります。
⑩KRUBERABLINKA『KAIZU』
テラローザの赤尾和重が本腰を入れて動かしたバンドの2枚目。相棒はテラローザの鈴木広美。両者が表現してくれたのはテラローザに通ずる古典HM/HRサウンドを披露。メロディアスかつテクニカルな鈴木のギター、そして老獪なテクニックを駆使して唄い上げる艶やかな唄、これぞ様式美メタルの醍醐味と言える味わいがある。なんと言っても若々しい感性と勢いを完全に取り戻してる現役感たっぷりの音色に驚いた。古さに埋没しないフレッシュ感を導入させているのも凄い。これぞ現代まで脈々と連なる様式美メタルの血脈なんだろう。
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