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今週のアルバム10選
失恋船長 (2019-11-04 17:21:40)
『思い出の国産メタル100選その⑨』


①TERRA ROSA『PRIMAL』
貴重なデモ音源をCD化。希少価値の高いデモの製品化に興奮が止まりません。名曲①が復活したことに涙ですよ。
名曲『火の中に影』の元ネタも収録されていたりと興味が尽きない。また名手、島のギタープレイも聴けるし、各歴代ギタリストとの聴き比べも楽しめる。ドラマーも田野だしね。
メンバーチェンジの多いバンドだけに楽しみ方は楽曲以外にもありますよ。



②UNITED『HUMAN ZOO』
国内最強のスラッシュアルバムと言えるほど破壊力を持っている。タイプの異なる二人のギタリストが切磋琢磨している姿もエゲツナイほど興奮させる。
とにかく良く聴いた一枚だ。拡散傾向にあったスラッシュシーンの中にあって素早く対応してきたの印象が強いが、的外れにならないセンスが凄い。
古井の唄が弱いと言われがちだが、個人的には愛して止まないシンガーだ。



③5X『HUMAN TARGET』
ジョージ吾妻やカルメン・マキらが在籍した元祖スーパーグループ。80年代初頭のハードシーンを牽引していたのは間違いない。


④AROUGE『AROUGE暴虐の貴公子』
橘高文彦の名前を世に知らしめたバンドのデビュー作。
10代の若者にマント姿のコスプレは悪いアイデアではないのだが、戦隊ヒーロー感が出過ぎてしまった。
音は本格的なスタイルを披露している。それだけにちょっと残念だが、一枚のアルバムで解散したのはもっと残念だった。
後年幻の2枚目を含んだ再発盤が出た時は本当に嬉しかったし、しみじみ良かったなぁとメンバーの親族ばりに思った。



⑤BLIZARD『暗黒の聖書-BLIZARD OF WIZARD-』
英国寄りのサウンドとジャーニーのメンバーからの楽曲提供もあったりと、デビュー当時から拡散傾向の音楽性だった。でもジャーニーからの提供って凄い期待値だよね。
絵になるメンバーが揃う美系の本格派のグループ。そのせいで最後まで方向性が定まらずに試行錯誤していたように感じる。下村の無理目のハイトーンも懐かしい。
構築美溢れる叙情派ギタリストの松川敏也の存在感の強さにワクワクさせられる。

⑥STEFFANIE『HIDEWAY』
日系人女性シンガー、ステファニー・レイコ・ボジャースのソロアルバム。名のあるバックメンバーを従えガチンコのHM/HRサンドを披露。その伸びやかな歌声はハードサウンドに一歩も譲らない逞しいものだった。
モデル上がりなんて色眼鏡など木端微塵に吹き飛ばす圧巻のパフォーマンス。ハズキルーペもぶっ壊れるな。後年、寺田恵子の後任としてSHOW-YAに参加。代表曲を英詩に変更して唄っていたな。


⑦人間椅子『頽廃芸術展』
ヘヴィメタル冬の時代にリリースされたフルアルバム。それだけに思い入れは強い。彼らの持つシニカルな世界観が破綻することなく機能。
バラエティに富んだ楽曲も曲順良く収録され視聴感の高さは随一だ。この作品以降、しばらくは和嶋の捻くれたポップソングなどが収録されたアルバムが出るため、統一感に欠けたものが増える。それだけに、今作は、そんなフラストレーションとは無縁の人間椅子サウンドを楽しめる。もう少しヘヴィで深みのあるミックスであれば、なお良かったのだが、彼らのファンベースを考えるといたしかたないのだが、ロックなんでね、歯応えが欲しいわなぁ。それでも、このバラエティ豊かな楽曲は、全てが個の魅力を存分に発散している。


⑧聖飢魔II『LIVING LEGEND』
解散を公表した後にリリースした最後のオリジナルアルバム。それだけに話題性は大きい。その前にリリースされたベスト盤との繋がりもある正統性の強い音楽性は、彼らの集大成と呼ぶべき傑作へと仕上がっている。これ一枚で終わるのが惜しいと思わせる内容だったが、これが最後だから、出し惜しみのないアイデアの結晶とも取れるのだろう。もし彼らが0点という批評を喰らっていなければ、どういうミュージシャン人生を歩んでいたのか、ふと頭ももたげたのが印象的だった。
初期の楽曲をセルフリメイクした傑作のベスト盤『1999 BLACK LIST』と併せて聴いてもらいたいね。


⑨DANCER『Dancer Memorial』
藤本泰司率いる叙情派バンドの音源を一まとめにして2枚組としてリリースされたアルバム。限定生産の為に中々手に入らないが、藤本が沢田泰司のD.T.Rに参加した際には、便乗商法丸出しのBest of Taiji Fujimotoのタイトルで12曲入りと曲数を減らし再発された事がある。
アメリカンな陽性サウンドからバラードにハードなナンバーまでとバラエティに富んだ楽曲を収録。アンセムで鍛えたトニーのハイトーンと藤本のギターワーク、そしてタイトなスケジュールながらも、パワフルなプレイを披露したリズム隊。ポテンシャルを秘めたグループだった。インディーズでも人気を博していたが突如解散。知名度を上げきれなかったのが、今の現状を示しているだろう。


⑩ANTHEM『BURNING OATH』
レーベルも移籍、新体制の中で気合漲る一枚をシーンに叩きつけてきた不動のヘヴィメタルバンド。ドラマーの本間の離脱のニュースもあったが、ピンチを見事とに乗り切っている。
哀愁美溢れる硬派メタルサウンドを継承するアンセム。今作も揺るぎない安定のブランドだが、個人的には、アルバム一発目の視聴中に、森川之雄の声で聴きたいなぁと、シンプルに思ったのが印象的だった。それゆえに、坂本英三の脱退劇に、驚きはあったが、遂に実現したかという気持ちの方が強かった。適切な表現ではないが、個人的には正夢でしたね。
ここで聴ける坂本英三の哀愁たっぷりの唄い回し、ギリギリのところで踏ん張る熱唱に胸打たれます。かれは間違いなくアンセムを支えた灼熱のヴォーカリストとして後世に名を残したことも揺るぎない事実である。この功績は認められるべきだ。

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