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Final Offering / AXE
火薬バカ一代 ★★★ (2019-10-30 22:51:22)
70年代後半に結成され、アルバム・リリース毎に人気を高めるもその最中に主要メンバーが不慮の死を遂げ解散。90年代に一度復活を遂げましたが、今度はバンドの要であるボビー・バース(G)がBLACKFOOTにリッキー・メドロックの後任として加入することとなったため、再び長い沈黙期間へと入ってしまっていたAXEが、前作『THE CROWN』(’00年)以来、実に19年ぶりに発表した7枚目のスタジオ・アルバム(’19年)がこちら。
代表作『OFFERING』(’81年)と関連付けたアルバム・タイトルやアートワークを採用して原点回帰の姿勢をアピールする割に、1曲目がいきなり埃っぽい渋めな楽曲なので、「おいおい、BLACKFOOTのメンバーとして活動する内に身も心もサザン・ロック親父になっちゃったのかよ」と一瞬不安を覚えなくもありませんでしたが、重厚なリーダー・トラック②以降は、ボビーの泣きのGと、ボブ・ハリス(Vo)のエモーショナルな歌声が紡ぐウェットなメロディに彩られた抒情メロハー路線へと軸足が移りますので一安心。
全体的にベテランらしい落ち着いたムードが支配的ゆえ、少々地味な印象は拭えないものの、それが逆にメロディの憂愁を補強してくれているので結果オーライ。ことに6分越えのドラマティックな大作④、乾いた哀愁漂わす(他の曲に比べて若干この曲だけテイストが異なる)バラード⑧、アルバム後半のハイライト役を担う泣きに満ちた⑨等は、特にそうした旨みを強く感じさせてくれる逸品です。
ボビー・バース曰く「これがAXEのラスト作」とのことですが、本作を聴く限りまだまだイケる。引退を撤回してくれてもこっちは一向に構わんですよ。
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