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In the Cut / PHILLIP BARDOWELL
火薬バカ一代 ★★★ (2019-07-08 01:57:33)
ブルース・ゴウディ率いるUNRULY CHILDや、ブラジル出身のマルチ・アーティスト、アレック・メンドンカのプロジェクトN.W.O.等への参加で知られるシンガー、フィリップ・バードウェルが'05年に発表した2ndソロ・アルバム。
ここ日本ではイマイチ知名度に乏しい御仁ですが、本作のレコーディング・メンバーには、プロデューサー兼ソングライターのトミー・デナンダー(G)と、ダニエル・フローレス(Ds)という当代きってのメロハー職人2人が名を連ねている上、作曲者欄に目をやると、マーク・スピロ、スタン・ブッシュ、ボビー・バース、カート・クオモ、それに我らがジム・ピートリック等々、実に強力な面子の名前がクレジットされており、お店でこれを見た時は「そりゃ買わないわけにはいかんでしょうが」と思わず呟いてしまいましたよ。
実際、相変わらずエモーショナルで伸びやかなフィリップの歌声といい、それを堅実に盛り立てるバックの演奏といい、哀愁のメロディに包まれたキャッチーなメロハー・チューンが居並ぶ本編は、聴き手がこの顔触れに期待する作風&品質にきっちりと応えてくれる素晴らしさ(「マジックが起きている」レベルにまでは至っていないのが惜しくもあるのですが)。
中でもやはり、ホットなロック・ソング③、一転して温もりを湛えた抒情バラード④というスタン・ブッシュ提供の2曲、それと「流石ジム・ピートリック!」という哀メロが沁みる⑩辺りは、両人を贔屓する己の欲目を抜きにしても、アルバムのハイライト・ナンバーに相応しい輝きを放っているのではないかと。あとボビー・バースが手掛けたポップな⑦も良い。
ぼちぼち彼氏のソロ・アルバム第3弾に期待したくなる充実作です。

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