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RUSSIAN ROULETTE ~NO POSERS ALLOWED 1985-1994 / CASBAH
失恋船長 ★★★ (2019-04-30 19:12:25)
98年に初期の音源をリメイクしたアルバムをリリースした。現代的にアップデートした音質とライブで鍛錬されたリメイクは、彼らにとっても大きな意味があったろう。仕上がりに関しては賛否もあったが(低音の迫力不足を指摘する声が多い)幻の音源が世に放たれたのは嬉しかった。
後年、今度は本格的な初期の音源の掘り起こしに作品をリリース。個人的にはコピーを重ねまくったデモ音源や、アナログ盤のEPをテープに録音したものしか聴いた事がなく(当時は愛聴したものである)、当時の貴重な音源の復活劇には驚きを禁じ得ませんでした。

ライブでは多くのファンから拍手喝さいを浴びるバンド。今作にはそんな何かを突き破ろうとする熱気や凄みが充満している。リマスターされたとはいえ各段音質が向上したわけではない。それでもここには、嘘偽りのないダイハードな男達による魂を焦がすへヴィロックサウンドが存在しているだ。身体の奥底から鳴り響くへヴィなウネリ、2015年にリリースされた新作ももオーガニックなへヴィロックを奏で感心させられたが今作を改めて聴き、このバンドの本質と言うか、そのピュアな精神性は何も変わっていない事を再確認しました。好む好まざるを得ず、認められるべき本気の音がここにはありますね。

雷鳴の如く激しく暴れるリズムプレイの突破力、切れ味鋭いギターはアイデアが豊富で実に面白い。へヴィなサウンドを従えてうねりを上げる羽鳥の咆哮はフロントマンとしての重責を十分に果たしている。むしろライブの方が演奏も唄もパワフルだ。
かつて雑誌でSABBRABELLSの1stの批評で、こんなのがあった。バンドの熱さをレコーディングに落し込めないみたいな感じだったと記憶しているが、今作にも通ずるものがあるだろう。それほど、彼らのライブは熱量の高いものだ。今作を聴き、カスバは本当に意味でのライブバンドなのかもしれない。会場を包み込む熱気と一体感、あのパワーを体感したものなら、今作は彼らのポテンシャルの一部でしかない事を知っているだろう。日本が誇るダイハードなメタルバンドの初期音源集。
これほど熱いエナジーが迸っているのに、ライブの熱量に及ばないと言うのだから凄いよね。
海外の有名アクトにも引けを取らないポテンシャルと幅広い音楽性、それらを無理に型に押し込める事無く自然体で鳴らす姿に激しく共感しますね。

ありがとうディスク・ユニオンですよ。でもこういうバンドが音楽だけで飯が喰えないってのが、何とも嘆かわしいよねぇ(涙)

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