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Twilight Cruiser / KINGDOM COME
火薬バカ一代 ★★★ (2019-04-26 00:32:30)
なまじ売れたばかりに「LED CLONES」としてLED ZEPPELIN信奉者から袋叩きの目に遭ったKINGDOM COME(「ZEPなんか聴いたことない」発言がそれに拍車を掛けたようですが、あれはインタビューの一部のみを恣意的に切り取られてしまったのだとか)。吹き荒れる逆風とセールスの伸び悩みが相俟って、その後まもなくバンドは崩壊。失意のうちにドイツへと戻ったリーダーのレニー・ウルフ(Vo)のソロ・プロジェクトとして新たに再編されたKINGDOM COMEが、'98年に発表した5thアルバムがこちら。
本作で披露されているのは、ブルーズ色(LED ZEPPELIN風味)はぐっと薄まった都会派HR。グランジ/オルタナ・ロックがHR/HMシーンを席巻していた時節柄、作品全体を仄暗く内省的な雰囲気が覆い、ところどころでモダン(当時基準)なアレンジも顔を覗かせますが、シャウトしてもどこか物悲しいレニーの憂いを孕んだハスキー・ボイスと、冷ややかな哀メロに彩られた楽曲には意外なぐらいそうした作風がマッチしているという。特に、じっくりコトコト煮込むかの如く盛り上がっていく6分越えのドラマティックな大作曲③と、VoとGが欧州バンドらしい猛烈な泣きを発散するバラード④は胸に沁みる名曲。そこからHR然とした疾走ナンバー⑤や、爽やかな⑥へと繋いでいく流れも巧妙ですよ。
KINGDOM COME以上にSTONE FURYを愛する身としては、「90年代エキスの注入された『BURNS LIKE A STAR』的な楽しみ方だって出来なくもない本作は、意外なぐらいツボにハマった1枚でした。哀メロ派の方なら、これをKINGDOM COME入門盤にするのだって全然有りなんじゃないでしょうか?
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