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Keel / KEEL
火薬バカ一代 ★★★ (2018-11-08 00:16:52)
来日公演も盛況の内に終了させたKEELが、その余勢を駆って発表した4thアルバム(’87年)。尤も翌年にはマーク・フェラーリとブライアン・ジェイのGチームが揃って脱退、ほどなくバンドは解散してしまうこととなるのですが、まぁそれはまた別のお話…。
プロデューサーがジーン・シモンズからマイケル・ワグナーにバトンタッチした本作は、初期作に比べるとKeyのフィーチュア度が上がった分、ヘヴィ・メタリックな疾走感や荒々しさは後退。いかにもマイケル・ワグナー印といった感じの分厚いプロダクションを得て、ミッド・テンポの楽曲を中心に据えたサウンドは、よりメロディアスでマイルドに、華やかなボーカル・ハーモニーをふんだんに散りばめた洗練されたポップ・メタルを聴かせてくれるようになりました。
特にバンドの家族や関係者、ゲスト・ミュージシャン(あと取材で現場を訪れていた酒井康)ら、総勢50名以上がレコーディングに協力したというビッグなコーラスがフィーチュアされたOPナンバー①はインパクト十分の名曲。それ以外にも、哀愁のミッド・チューン②、優しげなバラード④、一転してキレのあるツインGがアグレッシブに躍る疾走ナンバー⑤、キャッチーなメロハー⑧、颯爽と本編を締め括る⑩等、耳を捉える楽曲が揃っていて、それらを伸びやかに歌い上げるロン・キールのVoも、無駄な力みが薄れ確かな成長を感じさせてくれます。尤も、消化に悪そうな筋張った歌声はロンの立派な個性でもあるわけですが。
KEELがバンド名をタイトルに冠したのも納得の充実作。
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