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Burn / DEEP PURPLE
正直者 ★★★ (2018-07-12 18:16:23)
ジ・エンド・グッバイ…そう大阪の公演を最後にイラン・ギランはバンドを去り、ベースプレイヤーのみならずソングライターとしても優秀でバンドを確実に支えていたロジャー・グローバーも脱退。バンドは大きな転換期を迎える事となった。
前作で見せた多様性はリッチーの望むものではなかったし、ファンにとっても類似性の高い音楽であろうとスピーディーなロックを望んだ。ライバル、レッドツェペリンは全米を熱狂させるもパープルは何時も後塵を拝する思いで見ていたであろう。やりたいことと望まれることの違いに苦しむメンバー、それは修復不可能になるまで決定的な亀裂を生みだすことに、華麗なる黄金期と呼ばれた第二期は危うさのうえで成り立っていた。
新ヴォーカルを探すのに難航したバンドは、雑誌に広告を打つほど困窮することに、やっとの思いで加入させたのがディヴィット・カヴァーディル。ブルーアイドソウル丸出しの歌い方はバンドに新しいイメージを植え付けることに成功。同じような趣味を持つベースのグレン・ヒューズとの相性も良く二人のシンガーが共存する形は斬新だった。
ちなみにカヴァーディルには興味深いエピソードがあり、まだギラン加入して間もない頃、彼の不真面目な態度に不安を覚えたジョン・ロードが前座で歌っていたカヴァーディルを見て、不測の事態が起こればあいつに声を掛けようとインプットさせている。
こうして新メンバーを加えたバンドは、既存のスタイルに、今までになかったエモーショナルな歌とファンキーなグルーブを持ち込み、よりソウルフルな感情表現を用いた音楽性に変貌。そのかいあってか、今まで以上に幅広い層に支持されるバンドになる。
多彩なリズムと今までにないコード進行はハードロック一辺倒からの脱却と言えるだろう。
その中でも、①はハードロックのクラシックナンバーとして広く認知される。バッハから影響を受けたクラシカルなコード進行、そして計算されたギターソロ、ハードロックの持つ重量感と凶暴性を上げつつもヨーロピアンテイスト溢れる構築美を持ちいり創造性豊かな、このバンドならではの魅力に富んだナンバーとなっている。特に新加入組の黒っぽいフィーリングもマッチしているので、この新しい姿は間違いではないと強烈にアピールしている。
イアン・ペイスのドラムが大暴れする⑤、ロックの歴史に燦然と輝くブルース⑦など、このメンバーだからこそ体験出来る名曲が多い。
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