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Race to Paradise / JEFF PARIS
失恋船長 ★★★ (2018-05-05 13:52:32)
天才マルチ・プレイヤー、ジェフ・パリスの記念すべきデビューアルバム。シンデレラのアルバムレコーディングに参加したりと下積みを経て、1986年にランス・クイン等の協力を得てデビュー。今作は日本フォノグラムのMercuryからもリリースされている通り、期待をされたアーティストでした。適度にハードなバッキングと軽やかさを演出するキーボード、そこにジェフのパンチの効いたハスキーヴォイスがスパイスとなり、甘美な哀メロナンバーにロック然とした力強さを与えています。
全編に渡りフックに富んだメロディと、本格派志向の歌モノロックサウンドはデビュー作とは思えないほど、充実しており、正にBON JOVIバブルに沸くアメリカから、苛烈なポジション争いに終止符を打つようなアーティスト登場と言える程の質の高さを保持しています。ヴォーカルオリエンテッドな作風だし、大衆性の満載のポップロックなんですが、根幹にあるのは基本のしっかりとしたバンドサウンドなんです。
時には甘く切なく、時には優美に、そして包容力のあるメロディが、多種多様な楽曲の中で息づくさまにAOR調のロックサウンド最大の旨味を感じます。90年代から2000年まで、この手のジャンルには本当にお世話になりました。毎年関係各社にお中元、お歳暮を贈りたくなるもんね。
ちなみに今作でドラムを叩くのはパット・トーピー。そしてジェフは後にMR.BIGにCDFF-Lucky This Timeを提供しています。
優れた才能を持つもヒットにつながらず、次作は国内リリースも見送られたジェフ。歌モノロックが好きな方なら安心して手を出せるクオリティを保持していますのでマニアなら要チェックでしょう。日本ではソロアーティストはルックスが良くないと厳しいのかなぁ?80年代と言えば、ミュージックライフみたいな外国人のアイドル紹介雑誌かBURRN!だからなぁ、どちらにも引っ掛かりずらいミュージシャンだったんだろうかね?売れなくて残念ですよ。

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