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Eye of the Hurricane / IMPELLITTERI
失恋船長 ★★ (2018-05-03 15:08:07)
Answer to the Masterを完全に下地にしたアルバムScreaming Symphonyは、ファンが求める、彼の理想的なスタイルを具現化したような分かりやすいアルバムで聴き応えもあったが、同時にかなりのデジャブ感も誘発するものだった。それでもコンパクトな作風は視聴感の良さも手伝い、また時代性の後押しもあり好意的なモノとして多くのファンに受け入れられた。
そういう正統派メタルの救世主的な立ち位置でもあったインぺリテリの最新作。今回も完全に自身のスタイルを踏襲するものであり、パワフルな高速リフとシュレッドギター、スピード感を損なわないメロディックなフレーズの構築には一日の長を感じずにはいられません。楽曲の幅を持たせる為に用いられたアイデアなのか、アコギやスパニッシュ風味のフレーズなども持ち込み、類似性の緩和に一役買っています。
この手のスピードメタルを求めるファンにとっては、一つのスタイルを極めたアルバムと称賛の嵐となるのでしょうが、一つ距離を置いて眺めると、積極的な攻めの姿勢を感じさせない無難な作風に終始しており、その辺りの感性が評価を分ける最大のポイントとなるでしょう。スリルのあるプレイも、何故か興奮を覚えないのは、毎度お馴染みすぎるスケールの運用と手癖的なフレージングの構築が気になるというのがチョイと残念です。
それもこれも、クリス・インぺリテリという才気溢れるギタリストへの期待値の表れで、並のプレイヤーでないのは一目了然ですから、疾走感とパワーを兼ね備えた普遍的HM/HRが好きな方なら大いに楽しめる高品質を保持している点は、クリスの最たる魅力でしょう。
個人的には、どこかヨソ行きで置きにいった感が強く、レコード会社のオーダーの元、窮屈な環境でレコーディングしたのかなぁと、つい勘ぐってしまうのですが、1997年に、ここまでストレートな作風を貫いてきたのは喜ばしい事でもありましたね。

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