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Thrill of a Lifetime / KING KOBRA
火薬バカ一代 ★★★ (2018-04-03 23:48:09)
「人工甘味料チックなイケメン4人と成分無調整のオッサン1人」というビジュアル戦略や、楽曲のクオリティも万全だったのに、なぜかデビュー作『READY TO STRIKE』がコケてしまったカーマイン・アピス率いるKING KOBRA。万全過ぎたイメージ戦略が逆に「作られたバンド」感を強調してしまい足を引っ張ったのか…。ともかく、その失敗を踏まえた'85年発表の本2ndアルバム(邦題『街角のスリル』)では音楽性を転換。HR/HM色を薄めた代わりに、Key類やポップなメロディが大幅増量された、AOR/産業ロック方向へと大きく舵を切ったサウンドに仕上がっています。
映画『アイアン・イーグル』主題歌⑥はともかく、ラップ調の⑦まであったりする節操のなさは如何なものかと思いますが、聴き進めていくと実は本編後半では、哀愁を帯びて駆け抜ける隠れた名曲と言うべき⑧や、キャッチーなコーラスがライブ映えしそうな⑨、ノリノリで最後を締め括る⑩といったハードな疾走ナンバーが連続。これにはバンド側の「ポップに日和ったと侮んなよ?」との意地や矜持が垣間見えるようで好感度が上がります。勿論、アルバム前半で固め打ちされるハードポップ・チューンだって、爽やかに吹き抜けるOPナンバー①、Gが歌う②、明るく弾む③等いずれも質が高く、何よりマーク・フリー(Vo)の伸びやかでソウルフルな歌声は、この手の楽曲においても絶品の味わいを発揮してますよ。
LAメタルを代表する1stの表題曲級のインパクトを有する名曲は見当たらなくとも、総合的なクオリティでは前作に決して引けを取らない1枚。ただ残念ながら本作もさっぱり当たらず、一先ずバンド活動にはこれで幕が降ろされてしまうのですが…。(現在は再結成済)
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