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Raw to the Bone / WISHBONE ASH
失恋船長 ★★★ (2018-02-07 19:13:38)
個人的にWISHBONE ASHの音源に初めて触れたのが今作。事前に聞かされていたイメージとは異なるサウンドではあったが、今作が他のカタログと比べると異質な方向性であった事を後に知る事になります。WISHBONE ASHと言えば、トリプルヴォーカルに、湿り気を帯びた哀愁のメロディを奏でるツインリードの調べ、英国風味満点のトラディショナルなフレージングの旨味、それらが幾重にも折り重なり美しくハモるのだが、今作には、そんな要素は皆無。
勿論、英国的なムードも満点だし、ちょいブルージーな要素もあるが湿り気という点も全然違う、またマイルドな感触と明るいポップセンスが前に出た作風に、かつての面影もない、でもこれもWISHBONE ASHという魅力には富んでおり、アンディ・パウエルを中心としたバンドサウンドの新たなる可能性を示唆している。
これも1985年と言う時代の波だったんでしょう、と理解できますが、かつての姿を知る筋金入りのファンからはすこぶる評判が悪かったと言われる一枚ではあります。ワタクシのようなライトリスナーにとっては、ポップな明るさの中にある、英国的な響きに琴線がチョコチョコと触れられる瞬間があり、質の違う湿り気を楽しんでいます。
そして最大の主役は、今アルバムを残してバンドをさる事になったオライアンこと、マーヴィン・スペンスの透明感のあるエモーショナルな歌声を堪能できる一枚として、歌モノロックを愛する方には強く勧めたい一枚ですね。
1985年と言う空気を思いっきり吸い込んだ、ポップでストレートな作風に舵を切った意欲作。バンドの活動に一旦、区切りをつける事にもなりましたが、2枚組で再発も決まった今作。丸ごとアメリカンになった分けではないので(英国的な叙情性のある曲も収録されている)、是非ともトライして欲しい一品です。

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