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Forever Free / SAXON
火薬バカ一代 ★★★ (2018-01-29 09:44:57)
'92年発表の11thアルバムにして、『伝説からの生還』なる大仰な邦題に釣られ、リアル・タイムで初めて購入したSAXON作品がこれでしたよ、確か。当時はSAXONのことを舐め切って「過去のバンド」扱いしていたのですが、その内容の素晴らしさに「違う、こいつらバリバリの現役バンドだ!」と認識を改めさせられたという。
必要最低限のクオリティ・ラインは易々とクリアしつつも、自分達が演っている音に対して明らかに迷いが感じられた前作『SOLID BALL OF ROCK』に比べると、今回は、進むべき方向を迷いなく見据えたバンドの自信に満ちた足取りが目に浮かぶよう。それはソリッドな音作り、Gリフ重視の曲作りのスタイル、あと何より指笛に始まり指笛に終わる確信的な本編構成からも伺えるのではないかと。この原点回帰の意図を汲み、本作に『伝説からの生還』という邦題を冠したくなった日本のレコード会社の気持ちが分かるなぁ。
特にアルバム表題曲でもあるOPナンバー①は、ただテンポが速いというだけでなく、演奏全体に漲る気骨、そしてビフ・バイフォードが歌う滋味と憂いに満ちたメロディから伝わる、ブリティッシュHMならではの貫目にも痺れる名曲。またアコギが寂寥感漂わす抒情バラード⑤における見事な歌唱を聴けば、彼が80年代後半の試行錯誤もしっかり己の糧にしていることが分かるってもんです。
未だ地味めな楽曲も散見され、SAXONのことを全然知らないような若いHR/HMファンすら巻き込んでいく問答無用のパワーの発露については、あともう数作待たねばならないのですが、そこへと至る最初の足跡を刻んだのが本作だったのではないか?と。

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