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Inside the Electric Circus / W.A.S.P.
火薬バカ一代 ★★ (2018-01-24 23:44:33)
ランディ・パイパーがクビになり、ブラッキー・ローレスがGへとコンバート。空席となったベーシストの座には元KING KOBRAのジョニー・ロッドを迎え入れるという大型メンバー・チェンジを経て、’86年に発表された3rdアルバム。
過激な出で立ち、過激なパフォーマンス、イギリスで発禁処分を受けた過激な歌詞&アートワークに至るまで、出オチで与えた特大のインパクトが作を重ねる毎に薄れていく中、人々の関心をいかに繋ぎ留めおくかが当時のW.A.S.P.喫緊の課題でありました。司令塔ブラッキーは、そうした事態に楽曲志向を打ち出すことで対処。以後『THE HEADLESS CHILDREN』『THE CRIMSON IDOL』といった名盤を連発するわけですが、翻って本作はといえば、歌詞は相変わらず下品で猥雑。その一方でHUMBLE PIEやURIAH HEEPといった70年代HRバンドのカヴァーに挑戦してみたり、正統派HM色を強めたオリジナル曲はワイルドさよりも整合性が重視されていたりと、まさしく彼らの作風が変化していく過程が克明に捉えられた「ザ・過渡期」な仕上がりという。
発表時は「オリジナル曲よりもカヴァー曲の方が印象に残る」と評され、バンド史においても日陰者的な扱いを受ける1枚ではあるものの、サーカス風の呼び込み①に導かれてスタートするヘヴィ・メタリックな②や、ラストを締める⑪のような疾走ナンバーのカッコ良さはオツなものですし、何より哀愁を纏って吹き抜ける⑤の名曲ぶりはアルバム屈指。勿論カヴァー2曲の出来栄えも素晴らしい。(ブラッキーはヒープが好きだねぇ)
即効性よりも遅効性に優れた1枚…かも。

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