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Power Game / MARSHALL LAW
火薬バカ一代 ★★ (2018-01-11 23:42:36)
名盤『MARSHALL LAW』(’89年)を引っ提げて登場し、地盤沈下が続く英国HR/HMシーンの救世主として一部マニアから注目を集めたビリンガム出身5人組が、ドラマーをリー・モリス(PARADISE LOST他)に代え、'93年に発表した2ndフル・アルバム。
パワー/スピード/メロディに加え「気高さ」まで兼ね備え、「JUDAS PRIEST以上にJUDAS PRIESTらしい」とまで言わしめた(俺の中で)、お粗末な音質をモノともしない正統派HMサウンドの結晶体だった1stに比べると、ミッド・テンポの楽曲を主体に、切れ味の鋭さよりも破壊力重視のモダンなパワーメタル・スタイルでズンズン攻めて来る本作は、如何にも90年代のメタル・アルバムらしい仕上がり。…と書くと安易にPANTERA路線に走った作品かと思われるかもしれませんが、それもちょっと違う。
オールドスクールなHM成分や、英国産らしい湿ったメロディの魅力はしっかり担保されていて、特にドラマティックに盛り上がる⑤は1stに収録されていても違和感のない泣きの名曲。またプロダクションが格段に向上し、アンディ・パイクのVoが野太さを増したことで、鉈の如きGリフが振り下ろされる迫力に満ちた②や、活き活きと動き回るツインGがフィーチュアされた⑨、緊迫感を孕んで突き進む⑩といった、アップテンポで畳み掛ける楽曲のカッコ良さも底上げしてくれています。
単純に1枚のアルバムとして評価すれば、聴き応え十分の好盤として評価できる作品。…なのですが、彼らの場合1stが比類なきブリティッシュHMの名盤であったため、本作における路線変更をどうしても勿体なく感じてしまうんですよね…。
→同意