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Jugulator / JUDAS PRIEST
うにぶ ★★ (2003-05-06 23:03:00)
ロブ・ハルフォードに代わり、ヴォーカルにティム“リッパー"オーウェンズを迎えた、『PAINKILLER』から7年ぶりとなる復活の13thアルバムです。
全体的にヘヴィ・リフで押しまくる曲調になっていて、ミドル・テンポの曲が多く、重苦しい雰囲気なので、けっこう評判の悪いアルバムです。しかし個人的にはJUDAS PRIESTの作品では2番目に好きです。不動のナンバー1は『PAINKILLER』なのだけれど、甲乙つけがたくなるくらい良いアルバムです。
まあ、メロディアスな曲や速い曲、80年代の彼らのような曲展開を求める人には厳しいと思うので、無理にすすめたりはしませんが、これは紛れもなくJUDAS PRIESTの個性あふれる傑作です。(モダン・ヘヴィネスの影響を云々してらしくないという人もいますが、影響はしっかり消化され、全体的にとても彼ららしいと思います)
ヘヴィ・メタルとはヘヴィな音楽であるという当然の真理を追求した、バンド史上最重のピュア・メタル・アルバム。
メロディが捕えにくく、テンポが似た曲が多いので、パッと聴くと似たような曲が並んだ単調で退屈な作品に思えるのですが、聴き込むと実際は恐ろしく緻密につくりこまれていて、何度聴いても新たな発見があり、飽きません。慣れると実はキャッチーで良い曲がそろっていることもわかります。
メロディの良さで言えば、確かに『DEFENDERS OF THE FAITH』に入っている名曲群に匹敵するような曲は皆無ですが、アルバムの完成度は決して劣ってはいないし、興奮度は断然上。
(1)「JUGULATOR」が少し長めのイントロから、リッパーの不気味な語りかけを経て一気にテンポアップし、ハイトーンが炸裂した瞬間の、血が滾り渦巻くような感覚ときたら!
(2)「BLOOD STAINED」は、今ライヴで一番熱狂できる名曲で、拳を突き上げてサビを絶叫したくなっちゃいます。
(5)「BURN IN HELL」の最初のリフなんかは、「THE RIPPER」以来の妖しさですね。この曲は次々と雰囲気が変わっていくのも楽しくて、グレンとK.K.の曲づくりの才能の豊かさに脱帽。老練だけど、若々しい勢いも失わないところが凄い。
その他全曲、それぞれ魅力的。ただ(10)「CATHEDRAL SPIRES」はあまり彼ららしくないかな。ライヴで再現するのは無理っぽいし(ヴォーカルのハモりをどうすればいいのやら)。
このアルバムの楽曲は、もちろんリフやソロ、リズムも素晴らしいんだけど、リッパーのヴォーカルの素晴らしさが何よりの魅力ですね。ロブとはまた違った中低音域の男らしい荒々しさ、いきなり超音波ヴォーカルに跳ねあがるのではなく、ザラついた太い声が徐々にハイトーンに変わっていくところにはゾクゾクします。多彩なヴォーカル、曲の色をガラッと変えてしまうくらいに豊かな表現性は、ともすれば退屈になりそうなところで、絶妙のアクセントを与えています。ロブに似すぎて嫌だっていう人もいるようですが、やっぱり別ものです。あんまりこの声が気持ちよくて、毎日聴かないと気がすまないような時もあったな~。
メタル・ゴッドの再臨に相応しい、強烈なメタル・アルバムです。

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