この曲を聴け! 

United / HAREM SCAREM
帰ってきたクーカイ ★★★ (2017-05-02 01:06:51)
 14枚目のスタジオ・アルバム。
 思えばこのバンドも随分長い旅路を経て現在に至っている。私は4thを聴いた後途中下車し、本格的再始動の前作から再び乗り込んだある意味不真面目な客なので、このバンドの不遇な時代をスルーしている。前作も「良いんだけれど、なんかちょっと、こう・・・」みたいな感じで、結局今に至るまでコメントしていない(今後する可能性はある)。

 そんな私だが、本作は「これ良いから聴いてみて」と素直な気持ちでお勧めできる。
 バンドも吹っ切れたかのように、良い部分を出し惜しみしていない。変に2ndに寄せていくこともしていないような気がするし。好きで得意な事を一所懸命やったら出来上がりました、という感じ。

 このバンドは気の毒なことにいきなり2枚目で最高傑作をスルンと生み出してしまった。しかもそれが、その手の音楽をあまり評価しない時代に。そのため一部の(あるいは一部の国の)メロディックHR愛好家を除きスルーされたという過去を持つ。時代が時代だったら、ものすごい売り上げがあってもおかしくないくらいに全曲名曲揃いの奇跡的なアルバムであったのに。
 悪いことに大概傑作を発表すると、それがそのバンドのベンチマークとなる。皆、それと同等のものや上回るものを求める。
 でも、そんなに大傑作って生み出せない。当たり前のことだけど。

 で、本作については「2ndと比較して」なんてことはすでにどうでも良くなっている。個人的には。あれはもう別格だから。
 しかしながら、アルバムの雰囲気や聴いている時の気持ち良さは、近いものがあるんだな。これが。ハーモニーがビシバシ決まるし、フックも随所に仕込まれているし、良い曲が並んでいるし。
 前作と違って、早い曲やスローな曲やハードな曲やバラードを、上手に並べて緩急つけている。実力派投手が変化球とストレートを絶妙に配球し、三振の山を築いていく気持ち良さが本作にはある。

 断言しましょう。名盤です。

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