この曲を聴け!
Don’t Dream It’s Over / Crowded House / CROWDED HOUSE
帰ってきたクーカイ ★★★ (2017-05-02 00:10:11)
私はこのバンドを4thから聴き始め、3rd→1stという例によって変な順序で聴いていたのだが、この曲だけは「あ、この曲聴いたことあるな」と思ったのを憶えている。確か大ヒットしているはずなので、ラジオかなんかで耳にしていたのだろう。コンピレーション・アルバムに収録されているのを見たこともあるし。
”Dream”という単語を聴いて、長らく”夢見ることをやめちゃいけない(夢をあきらめるな)”的な曲だと思っていた。しかし、久しぶりにCDを引っ張り出して、何故か腰を据えて歌詞カードを読みながら聴いていたら(そういう気分だったんですよ)、「あれ?なんか違っていたかな?」と。
自由があり、自由がない
紙コップで豪雨を受けてみなよ
戦いは進行し、その多くで負ける
だけど君がこの道の終着点を目にすることはないだろう
僕と一緒に旅しているうちはね
ほら
終わることを夢想しちゃいけない
さあ、今
世界はそうなってきている
彼らは現れる
我々を壁で分けるために
僕達は彼らに勝利はないことを知っている
今僕は車を引っ張っていて、そのルーフには穴が開いている
僕は不審の念にとり付かれているけれど、根拠はないんだ
今日の新聞は戦争の話と三文記事
でも君はテレビ欄をめくっている
さて、僕は再びドラム・ビートの元に歩いている
そして君の心のドアに至るステップを数えている
先は翳っているが、頂上はかろうじてクリアだ
解放と救済の感覚を得るんだ
決して彼らを勝たせちゃいけない
この歌を男女関係の歌と解釈しても良いんだと思う。アーティストによっては多義的な歌詞を上手に書いて、「リスナーの受け止め方以上の意味はないよ」と言う人もいるし。聴き手が好きに解釈していい、というスタンスだ。
でも注意深く聴いてみると(読んでみると)、やはりこの曲は世界の現状を憂い、それに負けないという曲だったんじゃないかな。この曲が発表された当時は、まだソヴィエト連邦が存在しアメリカと冷戦の真っ最中だった。そしてベルリンは壁で仕切られ西と東に分断されていたし。
それで、この曲の持つ政治的(時代批判的)なステートメントは、今でも十分に有効だ。残念な事に。
超大国同士の冷戦は形を変えて局地的な戦争とテロリズムになり、ベルリンの壁はなくなったが、色々なところで人々が見えない壁に仕切られようとしている。
早く「“Don't Dream It's Over”って恋愛の曲だよね」という解釈が主流を占める世界になると良いのに。
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