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Faceless World / U.D.O.
火薬バカ一代 ★★★ (2017-01-18 23:19:41)
デヴィッド・リース(Vo)擁する編成でのアメリカ進出に失敗したACCEPTが解散。これによりようやっと彼らとの比較を気にせずに済むようになったウド・ダークシュナイダー(Vo)が、U.D.O.独自の音楽性を発展させるべく曲作りに励んだ結果、目立つKey類やリズミカルに跳ねるタイプの楽曲の存在があったりで、初めて聴いた時は正直戸惑いを覚えなくもなかった’89年発表の3rdアルバム。HMの権化が如き次作『TIME BOMB』(’91年)がU.D.O.にとっての『PAINKILLER』なら、こっちは確かに『TURBO』っぽいなぁ、と。
いやでも、じゃあ本作が売れ線に走った作品なのかと言えばさに非ず。確かに従来作よりも洗練を感じさせるアレンジや音作りに一瞬虚を突かれますが、そうした新要素を積極活用しつつ、HM専用フォーミュラと言うべきウドの雄々しい歌唱から、屈強なGリフと重厚なリズムのコンビネーション、トドメにマティアス・ディートの「歌う」Gプレイ(劇的に構築された①や⑤のGソロなんてもう…)が紡ぐドラマティックなメロディに至るまで、ここに託されたサウンドの骨格はU.D.O.以外の何者でもない鋼鉄密度を有しています。
特に、哀愁を発散するミッド・チューン①⑫や、小気味良く駆け抜ける疾走ナンバー③⑨、ライブでは大合唱を巻き起こしていそうな②④といった優れた収録曲の数々を聴けば、本作が単にポップに日和ったのではなく、U.D.O.本来の魅力を損なうことなく、よりキャッチーに、よりメロディアスに練り上げられた作品だということが分かるというもの。
少々タイプは異なれど、完成度においては『TIME BOMB』に引けを取らない力作です。

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