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Love at First Sting / SCORPIONS
火薬バカ一代 ★★★ (2016-10-28 01:10:13)
所謂「出世作」「大ヒット作」というヤツは、然るべきバンドが、然るべきタイミングで、然るべき作品を発表することによって生み出されると言います。とするならば、アメリカにおいてHMブームの盛り上がりが最高潮に達しようとしていた84年に、当時飛ぶ鳥落とす勢いだった蠍団により、捨て曲なしの最高の内容で発表されたこの9thアルバム(邦題『禁断の刺青』)が、同地においてバンド史上最大の成功を収めたのもむべなるかな。
前作『BLACKOUT』に比べるとハードネスやクドさは抑え気味で、より万人向けにすっきりとキャッチーに…『美味しんぼ』風に例えるなら(なぜ?)、本作の味付けは「しゃっきりポン」な感じに整えられています。カミソリ感を控えめに伸びやかに歌い上げるクラウスのVo、サウンドの輪郭をハード且つ明瞭に保つルドルフのリズムG、マティアス・ヤプスのSCORPIONSのリードGとして自信に満ち溢れた演奏をフィーチュアし、ライブの定番曲としてファンから愛される代表曲②⑥や、憂いを帯びたイントロから疾走へと転じる④、特に欧州圏で高い評価を得るというヒット・バラード⑨etc.…と、スタジアム級の会場で演奏されるに相応しいスケール感とフックを有した収録曲の数々は、最早ドイツのローカル・ヒーローではなく、ワールドクラスの人気者の仲間入りを果たしたSCORPIONSの余裕と貫禄を伝えてくれる仕上がり。
これ以降のSCORPIONSサウンドの変化は基本的に本作のバリエーションであり、ポップになったり、へヴィになったり、実験的になったりしても、その「基礎」として頑として揺るがないサウンド・スタイルを完成させたのが、このアルバムだったのではないかなぁと。

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