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Blackout / SCORPIONS
火薬バカ一代 ★★★ (2016-10-26 00:10:36)
歌手生命を絶たれかねない苦境を見事克服したクラウス・マイネと、彼の復帰を信じて待ったSCORPIONS。両者の信念が実を結び、全米チャート最高第10位に食い込む大ヒット作となった’82年発表の8thアルバム。蠍団のアメリカ制覇の先駆けとなったこの実績に、ゴットフリート・ヘルンヴァインの手掛けたインパクト大なアートワーク、それに邦題『蠍魔宮』のカッコ良さと、本作はSCORPIONSの代表作としてのみならず、80年代HR/HMシーンの隆盛を語る上でも欠かすことのできない輝きを放つ大名盤であると。
特筆すべきは、バンド史上最もアグレッシブなサウンドでこのサクセスを成し遂げた点ですよ。どこか慎重に置きに行った感もあった前作『電獣』に対し、今回は研ぎ澄まされたGリフから、タイトにストレッチされたリズムや曲展開まで、一気にHMの領域までエンジン・フルスロットルで突入。ルドルフ・シェンカーが刻むカミソリGリフと、魂を燃焼させるが如きクラウスのシャウトが聴く者の鼓膜を切り裂くアルバム表題曲①や、負けず劣らず攻撃的な⑤、個人的には①以上に贔屓にしている疾走ナンバー⑥、重厚な緊迫感漂わす⑧といった、メタリックな名曲群のカッコ良さは只事じゃあない。
無論、③④⑨のようなSCORPIONSらしい哀メロ・センスが活かされた楽曲の素晴らしさについては今更言及するまでもなく。あとポップにハジける②⑦も聴かせてくれますし…って、要するに捨て曲なしの名盤ってことですか。
どちらかと言えばウリ時代に強い思い入れを持つ我が身ですが、「SCORPIONS入門盤にどれか1枚選べ」と言われたならば、やはり本作しかないよなぁと。
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