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In Trance / SCORPIONS
火薬バカ一代 ★★★ (2016-10-13 00:35:32)
ドラマーをユルゲン・ローゼンタールからルディ・レナーズに代えて、’75年に発表された3rdアルバム(邦題『復讐の蠍団』)。「ギターに跨って悶えるブロンド美女」という、小生の愚息も思わず昇天な(スポーツ新聞風俗欄的表現)、SCORPIONS発禁ジャケット史の記念すべき第一歩ともなった1枚ですが、暗喩を感じさせるエロスの方向性がやっぱヨーロッパのバンドのセンスだなと。
涙なしには聴けぬドラマティックな名曲②、“人生は川の如し”なんて演歌みたいな邦題がドハマりする哀愁ダダ漏れの③、重々しくも憂いに満ちた⑤、タメを効かせて劇的に盛り上がっていく⑦等、ウルリッヒ・ロートが紡ぐ、日本人の感性にぴったりフィットして横漏れしない泣きメロの大洪水と、クラウス・マイネのコブシの入った熱唱を核に、情念が濃密に渦巻く70年代型ロック・サウンドは、基本的に前作『電撃の蠍団』と作風を同じくします。
但し今回は楽曲がコンパクトに、アレンジはタイトにまとめられ、SCORPIONS版“移民の歌”(?)的なOPナンバー①や、耳をつんざく⑥といった楽曲における、2本のGのアグレッシブな暴れっぷりや、スピーカーを食い破らんばかりの勢いで炸裂する、クラウスの(ルドルフ・シェンカーのお株を奪う)カミソリの如きシャウトを聴けば分かる通り、バンドがよりハードな方向へ、ギアを一段も二段も上げたことが伝わって来る仕上がり。
従来のプログ・ロック色を薄れさせたSCORPIONSが、シャープで切れ味鋭いHRバンドとして覚醒する3rd『VIRGIN KILLER』へと至る、その過渡期の魅力を捉えた名盤ではないでしょうか。

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