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Back for the Attack / DOKKEN
火薬バカ一代 ★★★ (2016-09-27 23:37:57)
日本での確固たる人気とは裏腹に、本国アメリカではオープニング・アクトの地位から脱却すべく苦労を重ねていたというDOKKENにとって、チャート・アクション的には過去最高(第13位)を記録した4thアルバム。(既にバンド内の士気がガタガタだった為、メンバー的には余り良い思い出がない作品のようですが)
「成功の壁」を突き破るため試行錯誤の跡が刻まれた本作は、ソフト路線に振った前作の反動か、はたまたHR/HMシーンの変化に敏感に反応したのか、鬼気迫る迫力で弾きまくるハードなGを前面に押し立てた、ドライでアグレッシブなHMサウンドを追求。正直、疾走ナンバーの不在や、美麗さよりもラフネスが強調気味のコーラス・ワーク、収録曲数の多さ等に初聴時はあまりピンと来なかったことを告白しておきます。
んが。よくよく聴き込めば、抒情的な“SO MANY TEARS”から、映画『エルム街の悪夢』主題歌“DREAM WARRIORS”まで優れた楽曲が揃えられており、DOKKENらしいハードネスとメロディのバランス感覚も相変わらず絶妙。何より本作の白眉は「寄るな触るなハジけて飛ぶさ」とばかりに暴れ回るジョージ・リンチのカミソリGですよ。その弾きまくりぶりと来たらドンが気持ち良さげに歌ってる時でもお構いなしな勢いで、別の意味でもスリリング。耳から出血しそうな“KISS OF DEATH”や“Mr. SCARY”は本作ならではの名曲ではないかと。
この頃には既に二人の不仲は公然の秘密と化していたわけですが、両者の個性のぶつかり合いによって生じる緊張感が、サウンドの切っ先を一層鋭利に研ぎ澄ます好結果に繋がっているのですから、やっぱり(感情的な折り合いはどうあれ)この二人の間にはマジックがあったんだよなぁと。そんなことを再認識させてくれる1枚であります。

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